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スエズ運河で座礁したコンテナ船は離礁に成功、1週間ぶり航行再開

久保田博幸金融アナリスト
(写真:ロイター/アフロ)

 スエズ運河でコンテナ船「エバーギブン」が座礁し、新型コロナウイルスのパンデミックに起因する世界のサプライチェーン(供給網)のひっ迫が強まる懸念が出ていたが、エジプトのスエズ運河庁は3月29日、23日に座礁し、約1週間にわたり航路を塞いでいた大型コンテナ船「エバーギブン」の離礁作業が成功したと発表した(30日付ロイター)。

 世界最大の家具販売チェーンを展開するスウェーデンのイケア、英家電・携帯電話販売のディクソンズ・カーフォン両社はロイターに、この座礁船で製品が運搬されていると明らかにしたそうである(29日付ロイター)。

 エバーギブンは世界最大級のコンテナ船で、載貨重量トン数は199629トンとされる。全長約400メートル。ニューヨークのエンパイアステートビルの高さに匹敵するという。今回は中国からオランダ・ロッテルダムまでの積み荷を運ぶ途中、スエズ運河で座礁した。

 エバーギブンだけでも大量の積み荷があるが、エバーギブンが座礁して運河が塞がれた状態が続いていたことで、スエズ運河庁のラビア長官は422隻が通航に向け待機しており、渋滞の解消には3日もしくは3日半かかる可能性があるとの見通しを示した。

 英海運専門誌ロイズリストの見積もりでは、1日にスエズ運河を通過する貨物船が積載している製品は約96億ドル相当に上るとされる(29日付ロイター)。

 欧米では既に、パンデミックに伴うオンライン注文の急増などで物流が混乱しているようであり、スエズ運河が通れないことで事態は一段と悪化しかねない可能性もあった。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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