最も女性が少ない議会はどこか? 女性政治家比率 都道府県ランキング
女性議員の除名から統一地方選挙を考える
国会を休んだ直後に旅行やはしご酒をしていたなどと報じられ、維新の党を除名された若手女性議員がメディアを賑わしている。こうした問題が起きる度に、問題を起こした当人の資質の話なのに、女性議員や若手議員全体の質が低く思われることを残念に思う。
質の低いものは、最初から政治家になるべきではない。特に今回のように政党公認で出ている候補者についての資質の担保は政党の責任であると思う。比例当選の議員が政党除名になった際の議席の問題などもそうだが、候補者選定や税金がつぎ込まれている政党助成金の扱いなども含め、政党の位置付けや義務を明記した「政党法」の必要性を強く感じたりもする。
若手議員や女性議員が増えてくる中で、どうしてもその中に、質の低い議員も数多く出てきてしまっていることは、私も感じているところである。しかし一方で、これまでの議員以上に高レベルで活躍している若手議員もおり、こうした議員に関してはむしろ多くのスポットライトを当てて注目してもらいたいとも思う。
有権者の中にも、政治不信から「できるだけこれまでの政治家と異なるタイプの政治家を」という思考が働く人たちがいるだろう。そうした人たちの中には、女性や若手に投票しようという人も多いのではないかと思う。だが、女性ならいい、若者ならいい、というだけではなく、さらに一歩踏み込んで、その資質についても評価した上で投票する必要性を強く感じている
女性国会議員の割合は先進国中最低。地方議会にも11.7%しかいない
全国には様々なレベルで、女性の地方議員が3,924人いる。こう聞くと「結構たくさんいるんだな」という気がするかもしれないが、全体数の33,439人からすれば、わずか11.7%に過ぎない。
世界各国の議会でつくる「列国議会同盟(IPU)」という組織がある。そのIPUが189ヵ国の下院議会における女性議員の割合を調べた結果、日本は480人中39人(8.1%)で127位と先進国最低だった。
一方で、安倍政権は2020年までに指導的立場にいる女性を30%にすることを掲げている。政治の場こそ、他の規範になるようにするべきだとも思うが、実態は世界から大きく遅れをとっていると言える。
こうした状況は、決して国政に限った話ではない。
2014年12月時点のデータで地方議会の女性議員の割合を見ていくと、市議会議員では13.2%、町議会議員にいたっては8.9%しかいない。東京23区の特別区議会議員でこそ26.2%となっているが、それでも全体の1/4強だ。
図表1:女性議員割合の推移
短期スパンで見るとあまり変動はないが、これでも女性の比率はだいぶマシになってきた方だ。4年に1度の統一地方選挙における女性議員の比率の推移を見ると、この20年で急激に増えていることが分かる。
最も増えている特別区議からその推移を見ていこう。
1951年には、特別区議会においても4.1%、39人しか女性議員はいなかった。それが、20年後の1971年には1.5倍の6.4%、さらに20年後の1991年には約3倍の11.7%、さらに20年後の2011年には4倍以上の26.8%にまで増えている。
こうした状況は、決して特別区だけではなく、政令指定都市議も1951年の3.5%が、2011年には5倍近い16.5%に、一般の市議については、1951年の1.3%が、2011年には10倍以上の14.6%に、町村議にいたっては、1951年の0.5%が、2011年には20倍近い9.3%まで女性議員が増えているのだ。
政令指定都市議が2007年の18.2%から2011年で16.5%に減っているなど、2007年の知事と市長などでも一時的に減るケースもあるが、その他は、一貫して増加傾向にあることが分かる。
このことから考えても、どれだけ女性政治家が増えるかという点も、今回の統一地方選挙における重要な要素といえる。
図表2:統一地方選挙における女性当選者率の推移
女性議員割合都道府県ランキング
こうした女性政治家の占める割合も、都道府県別に見ていくと分かってくるこのもある。
都道府県内の首長と議員を合わせた地方政治家のうち、女性が占める割合が最も多かったのは東京都の23.87%だった。
次いで、神奈川県の19.19%、3位に埼玉県の18.11%とベスト3を関東の都市部が独占。7位にも千葉が14.08%で入った。
また、4位が大阪府の17.69%、5位に京都府の16.58%、6位が滋賀県15.35%、8位が兵庫県で13.50%とベスト8までは関東と関西しかない。
9位になって、ようやく長野県が12.64%、10位の三重県が12.44%、11位になってようやく愛知県が12.11%と入っているという状況だ。
一方で、最も女性政治家が少なかったのが青森県で5.80%だった。ただでさえ少ない女性議員だが、最も割合の多い東京都の1/4しかいない計算になる。
次いで、長崎県が5.81%、3位が石川県で6.14%、4位が佐賀県の6.37%、5位が大分県で6.38%と続く。
東京でさえ1/4に届かない状況であり、全国平均にするとわずか11.21%しかない。
市議会議員や区議会議員でこそ全国平均で13.76%を占めているが、都道府県議会議員になると8.92%とまだまだその数は少なく、逆に町村議会議員のような小さい自治体でも8.87%と女性が議員になるのは難しい状況にあるようだ。
首長となるともっとハードルが高く、北海道や山形のように女性知事が誕生する県も出てきている一方、全体からすれば4.35%とまだまだ少ない。市区長に至っては2.09%、町村長は0.65%とさらに輪をかけて少ないことも分かる。
参考までに、最後に各都道府県の女性議員比率のランキングをつける。
女性の社会進出がいわれて久しく、場合によっては今回の選挙においても、多くの男性候補者がこうした目標を掲げているのではないかと思う。一方で、今回紹介したように女性政治家がまだまだ少ない現状についても、まず、自分の地域は日本全体や他の都道府県と比べてどうなのかと考えてみるのも、自らの自治体の課題を知るキッカケになるのではないかと思う。
ただ、冒頭でも書いたが、これまでの政治を変えてくれる人に議員になってもらいたいというのと、これまでの政治家と同じタイプの候補者であれば誰でもいいというは、大きく意味が異なる。
こうした事も考えながら、地域の抱える政治課題の一つとして今回の問題提起もとらえていただきながら、さらに地域をよくしてくれる人材とはどういう人材なのかと考え、投票に行ってもらえればと思う。
図表3:女性議員率 都道府県ランキング