【米大統領選】トランプ氏と安倍首相にあって、クリントン氏になかったもの。
※「不機嫌な長男・長女 無責任な末っ子たち 『きょうだい型』性格分析&コミュニケーション」の内容から抜粋・加筆・修正のうえ掲載。
先日行われたアメリカ大統領選挙において、マスメディアをはじめとする大方の予想を裏切り、ドナルド・トランプ氏が当選。初の女性大統領を目指したヒラリー・クリントン氏は、涙をのむ結果になりました。すでにさまざまな角度から「トランプ氏は勝つべくして勝った」「メディアが予想しきれなかっただけ」といった分析が繰り広げられています。
トランプは5人きょうだいの4番目
ドナルド・トランプ氏のきょうだい構成を見ると、5人きょうだいの4番目(中間子)。いちばん上に兄がいて、2人の姉に加えて弟が一人います。父親の期待に応えきれずアルコール依存症で早世した兄や、現在は連邦高等裁判所の裁判官を務める姉の影響を受けながら、育ちました。
クリントンは3人きょうだいの一番上
いっぽうのヒラリー・クリントン氏は、3歳と7歳離れた弟がいるいちばん上のきょうだい(長子)。強い父の期待を一身に受けた彼女は、意志の強さと頭脳を武器にエリート街道をひた走ります。しかし、弟たちはその陰にあって、とくに末の弟トニーは数々のスキャンダルで姉の顔に泥を塗ることがしばしばでした。
人の性格はきょうだい型に支配されている
日本には「三つ子の魂、百まで」ということわざがありますが、英語にも、What is learned in the cradle is carried to the grave. という格言があります。アドラー心理学においても指摘されるように、こうした小さいころのきょうだいや親との関係は、その人の性格を形作り、大人になってからの言動に大きな影響を与えます。
性別(長男・長女)や年齢差(年子・双子)などいろいろな要素がありますが、一般的なのは
「長子(きょうだいのいちばん上)」
「末子(きょうだいのいちばん下)」
「中間子(3人以上のきょうだいの長子と末子以外)」
「一人っ子(きょうだいがいない)」
の4タイプに分ける考え方です。
中間子・トランプの性格分析
トランプ氏は「中間子(3人以上のきょうだいの長子と末子以外)」というカテゴリーに属しますが、中間子はもともと、生まれたときはその家庭における末子として生まれます。
家族のアイドルとしてチヤホヤされ、栄華を誇っていたある日突然、その座は弟や妹に奪われる......。「その喪失感は実に大きかった」と多くの中間子は語ります。以後は、妹や弟と一緒にいるときは「上」としての振る舞いを求められ、兄や姉と一緒にいるときは「下の子」として扱われる。コロコロ役割が変わるので、自然とバランス感覚が養われます。
いわば、長子と末子のハーフであり、職場における中間管理職のような立場の中間子。誰とでもそこそこうまくつき合える器用さを持っていますが、それが災いして、「八方美人」とバッシングを受けることもあります。
ある女性(中間子)は「小さいころ、普通にしていたら、親に気づいてもらえない という危機感が常にあった」と告白します。一家団らんのときも、放っておくと自分の話はしてもらえない。何でもいちばんの長子と、愛玩される末子の間で、親の関心を引くのは並大抵のことではありません。 ちょっとしたチャンスも見逃さずに、「私もね!」と割って入るべく、涙ぐましい努力を重ねたそうです。この目立ちたがりという性格は、中間子が持つ「裏」の性格と言えるでしょう。
繊細な性格で、感受性も人一倍強い。よく考えてから行動する思慮深さがありますが、ときとして考え過ぎて、自分で自分を縛ってしまう傾向も。
孫正義・柳井正も中間子
いつでも人間関係に気を配れる彼らはいわば、人づきあいのエキスパート。交渉上手で、中間管理職などの調整役としては高い手腕を発揮。中間子がひとりいるだけで、チームが引き締まるシーンは多々見受けられます。「誰とでもうまくやれる人づき合い上手」か「何を考えているかわからないミステリアスな人」か、人によって評価が大きく分かれるのも中間子らしいところです。
ちなみにこの数年、ビジネス界で注目を浴びているベンチャー経営者の2大巨頭、ユニクロ(ファーストリテイリング)の柳井正氏とソフトバンクグループの創業者・孫正義氏は、どちらも中間子です。ちなみに三木谷浩史氏は末子、堀江貴文氏は一人っ子です。
歴代首相の半数が中間子
小さいころから、周囲にいつも気を配り、相手の気持ちを察してきた中間子は、交渉上手の政治上手に育ちます。諦めずに粘り強く説得したり、場面に応じてあの手この手を繰り出したりして組織をまとめあげるその手腕は、経営者や政治家に向いているのかもしれません。
実際、現在の安倍晋三氏をはじめとして、田中角栄氏、中曽根康弘氏、小泉純一郎氏、村山富市氏、 鳩山由紀夫氏など、じつに歴代首相の約半数が中間子です。逆に一人っ子の総理大臣となると、第66代首相三木武夫氏だけです。
トランプ、過激言動の理由
ドナルド・トランプ氏は選挙中、過激な言動で注目を集めました。ところが、ビジネスマン時代の彼はむしろ物静かな言動の紳士だったという指摘もあります。鬱屈した白人の支持を得るためにわざとプロレスのような発言を心がけた、と。(町山智浩氏:貴族だったトランプがアジテーターに転向した理由)
周囲の人間関係に常に気を配り、人の感情の動きに敏感。目的に応じた最適なコミュニケーションを繰り出せる。そうした人間関係のエキスパートこそが中間子の特徴だとするならば、トランプ氏はまさに中間子的な言動で選挙戦を勝ち抜き、アメリカ大統領の地位にまで上り詰めたと言えるかもしれません。
※「不機嫌な長男・長女 無責任な末っ子たち 『きょうだい型』性格分析&コミュニケーション」の内容から抜粋・加筆・修正のうえ掲載。