米国が抱く日本のイメージをさぐる
・米国の一般人が日本に抱いているイメージは「豊かな伝統と文化を持つ国」が9割以上でトップ。
・「保守的で閉鎖的」「理解が難しい」「警戒を要する」などのネガティブなイメージは少数派。
・関心のある日本文化は「日本食」「建築」「生活様式、考え方」などが多数。「アニメ」「ゲーム」はさほど多く無い。
インターネットで情報が容易に手に入るようになったとはいえ、他国の実情を正確に把握するのは難しい。米国の人達は日本にどのようなイメージを抱いているのだろうか。その実情を外務省が2017年12月に発表した「米国における対日世論調査」(※)の結果から確認する。
日本に対するイメージとして、米国の一般人はどのような姿を頭に描いているのだろうか。主要選択肢を用意し、それに同意できるか否かで答えてもらった結果が次のグラフ。「豊かな伝統と文化を持つ国」が9割超え、それ以外に「経済力・技術力が高い」「自然が美しい」「戦後一貫して平和国家の道を歩んできた」の3項目が8割以上に達している。
次いで「アニメ・ファッション・料理など新しい文化を発信」が8割近くで上位陣に収まっている。「保守的で閉鎖的」「理解が難しい」「警戒を要する」などのネガティブな回答はさほど多く無い。「民主主義・自由主義など米国と価値観を共有」「国際社会でリーダーシップを発揮する」が約6割なのは微妙なところか。
それでは日本文化のどのような点に興味があるのか。日本文化において代表的な項目を挙げ、それらについて関心があるか否かを聞いた結果が次のグラフ。トップには「日本食」がついている。
再現度は別にしても日本食が米国にも浸透していることが、関心度の高さを裏付けるとともに、関心への底上げの役を担っていると考えられる。意外なのは、漫画やアニメよりもむしろ、相撲・武道や生け花、盆栽などの日本古来の娯楽に高い関心が集まっていること、そしてアニメ、ゲームや漫画などの値が低い点。
日本の対外アピールを考慮・考察する際には、日本人からの視点では無く、今件のような海外からの視点を検証材料とする必要がある。さもなくば的外れなプロモーションをすることになろう。
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※米国における対日世論調査
外務省がニールセン(Nielsen)社に委託し、米国内において電話により2017年3月に実施されたもので、有効回答数は一般人1005人(18歳以上)・有識者200人(政官財、学術、マスコミ、宗教、労働関係などで指導的立場にある人物)。過去の調査もほぼ同条件で実施されている。
(注)本文中の各グラフは特記事項の無い限り、記述されている資料を基に筆者が作成したものです。