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来年度、40年国債の増発を検討か

久保田博幸金融アナリスト
(写真:Natsuki Sakai/アフロ)

 25日付日本経済新聞によると、財務省は2020年度の国債発行計画で、最長年限である40年債を3年ぶりに増やすかどうかの検討に入るそうである。

 2020年度の国債発行額そのものがどうなるのか。いまのところは補正予算編成なども絡んで不透明ではあるが、例年通りであれば、財務省は12月下旬に国債発行計画を決め、来年度予算が閣議決定されたタイミングで発表される予定となっている。

 25日には国債市場特別参加者(プライマリーディーラー)会合が開かれた。ここでまずプライマリーディーラーから、来年度の国債発行について意見を聞くことになる。このなかで40年国債の増発についても意見を聞くことになりそうである。

 また、26日には国債投資家懇談会が、やはり財務省で開催される。ここでも投資家に超長期ゾーンのニーズについて意見を聞くことになろう。

 日銀のマイナス金利政策などを受けて、現在は10年国債などの利回りがマイナスとなっている。長い期間の国債利回りは短いものに比べて保有期間リスクなどの関係から利回りが高くなっている。このため、投資家はより高い利回りを求めて、長めの期間の国債への需要を強めている。社債でも50年債などが発行されている。

 50年や60年の国債発行も検討はされていようが、その前にすでに発行されている40年国債の発行額を増加させて市場規模を大きくすることは必要だと思われる。

 日銀の政策との兼ね合いまで意識しているかどうかはさておき、日銀としてもなるべく長い期間の国債発行額が増加されることで、多少なり超長期の利回りがアップすることも期待しているのではなかろうか。

 来年度の国債発行額については、前倒し発行分の余力もあってある程度の調整は可能となっている。40年国債を増発した際には、その分、期間の短い国債の減額等で修正を行ってくることも考えられる。これもそれぞれの国債の需要を見極めながら調整されるものとみられる。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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