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元ハリケーンの台風17号 日本へ接近のおそれ

増田雅昭気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
台風17号の進路予想図。

日本のはるか東海上にある台風17号は、今後も西へ進み続ける見通しです。週前半(8日~9日頃)には南鳥島の近海を進み、週後半には本州付近に近づくおそれもあります。

今年2個目の「越境台風」

台風17号は、元々は東部太平洋で発生したハリケーンでした。西へ進むうちに、「台風」として扱われる東経180度(日付変更線)以西に入ってきたものです。このような台風は「越境台風」とも言われ、7月に長崎県に上陸した台風12号に続き、今年2個目です。

越境台風が複数になる年は、一昨年など時々ありますが、もし台風17号が接近した場合、本州付近に2個も接近するのは非常に珍しいことです。

過去の似た台風では島から避難も

2006年台風12号の経路。赤い円は暴風域、薄茶色の円は強風域。
2006年台風12号の経路。赤い円は暴風域、薄茶色の円は強風域。

今回の台風と似た例が、2006年の台風12号です。ハリケーンが西へ進んで台風となり、9月上旬に関東・東北の東海上を北上しました。

この時は、日本の最東端の南鳥島を直撃。その直前に、観測所の気象庁職員は島外に一時避難しましたが、観測施設は台風の被害を受け、約1か月、観測が欠測しました。

なお、現在、南鳥島に常駐しているのは気象庁職員と自衛隊員で、気象庁職員は自衛隊機によって概ね3か月交替で島に行き、観測を続けています。

気象庁によると、今回も南鳥島に大きな影響が出そうな場合は、職員の避難を検討するということです。

海・海岸は警戒が必要な状況に

2006年の台風12号の際は、台風の中心が関東の東を600キロほど離れて北上したのに、関東や東北の太平洋側には高波が押し寄せ、各地に波浪警報が出ました。

また、茨城県ひたちなか市では高波と満潮が重なって、海岸の民家まで潮位が上昇し、一部に避難勧告が出されています。

今回の台風17号が、どこまで本州付近に近づくか、まだ予測に幅はありますが、週のなかば以降、関東~北海道の太平洋側では、海や海岸に影響が出る可能性は高そうです。

なお、週末は大潮。満潮時に海面が上がりやすい時期にあたります。

■最新の台風予報:http://typhoon.yahoo.co.jp/weather/jp/typhoon/

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

TBSテレビ・ラジオ気象キャスター。大学在学中に気象予報士を取得し、民放キー局の報道番組に学生予報士として出演。気象キャスターに携わりながら、企業への予報やアドバイザーも長年担当し、甲子園での高校野球の大会本部気象担当を務めたこともある。災害から身を守る気象情報の使い方など講演も行うほか、Twitterで気象情報を毎日発信。著書に『TEN-DOKU クイズで読み解く天気図(ベレ出版)』がある。1977年滋賀県甲賀市生まれ。

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