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気になる熱帯擾乱”低圧部”の動向は?

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
雲の様子(ウェザーマップ)

低圧部は日本の南へ西進

天気図の変化(気象庁発表に筆者加工あり)
天気図の変化(気象庁発表に筆者加工あり)

タイトル画像をみると、赤い丸の中に、反時計回りの雲の渦巻が確認できるかと思いますが、ここには低圧部が発生しています。

低圧部とは、周囲に比べて気圧が低く、雲の循環は認められるものの、その中心付近がハッキリとしない熱帯擾乱(ねったいじょうらん)のことで、中心付近がハッキリするようになると、熱帯低気圧に名前が変わります。熱帯低気圧は風が強まれば台風に変わりますので、低圧部はいわば台風のたまごのたまごのような存在と言えるかもしれません。

気象庁の予想では、この低圧部はあまり発達することなく、週末にかけて、日本の南へ西進する見込みとなっています。その後も、諸外国を含む種々の計算では、すぐに発達するような予想は、今のところ、少ないものの、来週以降の動向は、進路、勢力ともに不確実性がかなり大きいため、念のため、注意が必要です。また発達しないまでも、非常に湿った空気を日本付近へ送り込む可能性があります。

暖湿流が流れ込む?

暖湿流の予想(ウェザーマップ)
暖湿流の予想(ウェザーマップ)

上図は際立った暖湿流(際立った暖かく湿った空気)の予想で、低圧部の周辺に広がっているのが分かります。この暖湿流が来週半ばにかけて、西日本から次第に流れ込む予想で、非常に不安定な天気となることが予想されます。

連日、雷雲が発達するおそれ

予報と予想最高気温(ウェザーマップ)
予報と予想最高気温(ウェザーマップ)

背の高い太平洋高気圧に覆われているため、記録的な猛暑となっている西日本でも、夕立はほとんどなく、安定した夏空となっているのですが、来週は晴れマークとともに雷マークも連日付加されるような予報となっています。

来週は、暖湿流の影響により、雲が出やすくなるため、40度に迫るような危険な猛暑は出づらくなりそうですが、その分、雷雲が発達しやすくなり、連日、あちらこちらで天気の急変があるかもしれません。先述した低圧部の動向によっては、さらに不安定が増していく可能性もありますので、今後の予報に注意が必要です。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

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