休日はテレビを5時間じっと観る…シニアのメディアライフの実態
高齢化社会の到来に伴い、シニア層の行動性向に注目が集まっている。総務省の調査「平成27年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(2015年11月14日から11月20日にかけて、全国125地点をランダムロケーションクォーターサンプリングによって抽出し、訪問留置調査方式により、13歳から69歳の1500サンプルが対象。アンケート調査と日記式調査を同時併行で実施し、後者は平日2日・休日1日)の結果を基に、同層のメディアへの注力実情を確認していく。
次に示すのは60代に限定した主要メディア、具体的には生放送のテレビ(番組)、録画して再生視聴したテレビ、インターネット、新聞、ラジオの行為者率。1日単位で該当メディアを利用したか否かを示している。例えばテレビ(生)の平日における値は95.2%なので、60代の95.2%は平日においてテレビの生放送を10分以上連続して視聴したことになる。
平日と休日では大きな差が出ていない。つまりメディア周りに関しては平日も休日も同じように接していることになる。これは同世代の多くが定年退職を迎え、就業や修学をしておらず、自宅にいる機会が多い、少なくとも就業に時間を拘束されるケースがほとんど無いことを意味する。
多くの人はテレビを視聴し、録画の視聴も2割近く(録画は世代別差異があまりなく、全世代でこの程度の比率)。インターネットの利用率はパソコン・携帯電話合わせても4割程度に留まり、残りの6割はインターネットを常用していないことになる。一方で新聞の購読率は約6割。時間の取れる休日は、より多くの人が目を通す。
利用時間の平均値(利用していない人=時間ゼロとした、調査対象母集団全体の平均)を見ると、シニア層のメディアライフがより一層透けて見えてくる。
平日よりも休日の方がテレビ視聴時間は長いが、それでも平日に限っても4時間強はテレビを観ている。「ながら視聴」が多分にあるのでは、との推測もできるが、併行利用されうるネットや新聞の利用時間を考慮しても、テレビの視聴時間が長いことに変わりはない。休日に至ると5時間はテレビを観ている計算になる。録画も合わせれば5時間半。
インターネットは1日30分強。新聞もほぼ同時間。今件は利用者・非利用者も合わせた平均利用時間で、新聞の行為者率はインターネットの大よそ1.5倍であることから、逆にインターネット利用者の利用時間は新聞の1.5倍程度であることが推測できる。
「高齢者層はテレビに釘付け」との表現はややオーバーな感はあるものの、ながら視聴の時間が短く、注力視聴時間が長いことを合わせて考えても、テレビを大いに楽しんでいること自体は間違いが無い。内容に没頭し、浸透し、盲信してしまうのも無理はない。
シニア層の人数が(絶対人数、全人口に対するシェアの観点で)増えることは、テレビに夢中な人が増えることをも意味する。人の数そのものだけでなく、形成世論との観点でも、色々と変化が生じそうだ。
■関連記事: