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ついに公道使用解禁となったテスラの自動運転を体験

河口まなぶ自動車ジャーナリスト

ついに公道での使用が認められたテスラのオートパイロット(自動運転)を早速試したのでレポートしたい。

この機能は2015年以降に発売された全てのモデルS(つまり自動運転に使用するためのカメラやレーダーなどのセンシング機能があらかじめ搭載されているかどうか)に適用されるもので、制御ソフトウェアをアップデートすれば使用が可能となる機能である。実際に今回試乗したクルマも、以前に試乗したことのあるP85Dそのものだった。

オートパイロットがついに公道で使える! と聞くとそのインパクトは絶大だが、実際には他車でも似た機能を持つものは少なくない。

最近の自動車では、アダプティブクルーズコントロール(ACC)という機能を採用しているものが多い。これはカメラやレーダーを使って前車との距離や速度差を把握して、クルマの側でアクセルとブレーキを操作して追従走行を行なう機能。さらにはステアリングアシスト機能付きという発展版を採用するものも増え始め、車線を認識して自車をレーン内にとどめるためにハンドルをクルマの側で半自動操作するものや、レーダーで前車の動きをフォローしてハンドルをクルマの側で半自動操作するものは珍しくなくなりつつある。

テスラのオートパイロットは、まさにこの機能とほぼ同じものだ。ただし他と違うのは、ハンドルをクルマの側で操作する範囲が現在の他車のそれより広範囲であること。事実、他のACCのステアリングアシスト機能付きでは、直線プラス緩やかなカーブに対してハンドルをクルマの側で半自動操作するのに対し、テスラのオートパイロットは更にきつめのカーブでもクルマの側でハンドルを操作する。筆者も試乗したところ、首都高速環状線(C1)でも、ほとんどの場所でハンドル操作を行なってくれた。もっともいざという時のために、ドライバーは両手をすぐにハンドル操作できる状態にしておく必要があるが。

さらにテスラのオートパイロットでは、オートパイロット機能がオンになっている状態でウインカー操作を行うと、クルマの側でハンドル操作を行なって車線変更をしてくれる機能もある。これはいまのところテスラがリードしているが、今年日本に導入されるメルセデス・ベンツ新型Eクラスなどにも搭載されており、他車でも順次採用されていくだろう。

またパーキングに関しても、自動駐車システムを備えており、駐車可能な位置を検出すると自動パーキングのボタンが画面上でアクティブとなり、それを押せばあとはハンドル、アクセル、ブレーキ操作をクルマの側で自動で行なってくれる。テスラのモデルSは比較的大柄なクルマのため、これを使う方がラクに駐車できるし、作動速度も駐車が苦手なドライバーより遥かに早く確実なレベルだった。

自動運転に関しては日本のメーカーも様々な段階の自動運転を、徐々に適用していく見通しだが、今回のテスラのオートパイロットは、その半歩先を、実際に公道で市販モデルにおいて使えるようにしたわけだ。

自動車ジャーナリスト

1970年5月9日茨城県生まれAB型。日大芸術学部文芸学科卒業後、自動車雑誌アルバイトを経てフリーの自動車ジャーナリストに。日本自動車ジャーナリスト協会会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。YouTubeで独自の動画チャンネル「LOVECARS!TV!」(登録者数50万人)を持つ。

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