「もしも携帯電話が無かったら」アメリカ合衆国の子供達はどのような思いを抱くのだろうか
今や携帯電話(従来型携帯電話とスマートフォンの双方)は日々の生活において欠かせない存在となりつつある。利用者にとっては宇宙空間における酸素補給装置のような存在に違いない。それではその携帯電話が無かったら、人はどのような思いを抱くのだろうか。アメリカ合衆国の子供達の思いについて、同国の民間調査会社Pew Research Centerが2018年8月に発表した調査「How Teens and Parents Navigate Screen Time and Device Distractions」(※)の報告書から確認する。
次に示すのはもし携帯電話が無かったらどのような思いを抱くかについて、同意できるものがあるかを複数回答で尋ねたもの。携帯電話利用者限定であることから、元々最初から携帯電話が無かったとしたらではなく、携帯電話を普段から利用している現状において、仮に利用できなくなったらどうなるかという設定だと考えればよいだろう。
挙げられた選択肢の中でもっとも同意者が多かったのは、「不安」で42%。アメリカ合衆国の子供達のうち携帯電話を使っている人の4割強は、もし携帯電話が無くなったら不安になると思っている。普段から他人とのやり取りや情報入手ツールとして呼吸をするかのごとく使っている携帯電話が、突然無くなったら、情報が途絶してしまうも同然。不安を覚えるのも無理はない。
「不安」と同じような意味合いの「孤独感」が25%で続く。携帯電話による情報を通じて他人と、社会とのつながりを実感する人にとっては、それができなくなることは暗闇に放り出されたようなものになる。「動揺」も24%でほぼ同率だが、意味合いも似たようなもの。
これらのネガティブな反応とは逆に「安心」「嬉しい」とのポジティブな回答も17%ずつ確認できる。詳細は報告書などでは確認できないが、普段から過度の情報に苛まれていたり、保護者などからの連絡で耳が痛い経験を覚えている、それらが遮断されることによる解放感を得られるとの認識なのかもしれない。いわゆるSNS疲れからの解放のようなものだろうか。
今件項目では男女別で大きな違いが生じている。
「安心」「嬉しい」のようなポジティブの回答は男女で大きな違いは無いが、「不安」をはじめとしたネガティブな回答は一律で女子の方が大きな差をつけて高い値を示している。男子よりも女子の方が、他人とのつながり、情報のやり取りを高頻度で行い没頭している(ソーシャルメディアのようなコミュニケーションツールの多用)ことにより、それが断絶した時のネガティブな影響も大きなものとなるのかもしれない。
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※How Teens and Parents Navigate Screen Time and Device Distractions
アメリカ合衆国に住む13~17歳の743人に対して2018年3月7日から4月10日にかけて電話による通話とオンライン経由で行われている。男女比は348対393、年齢構成比は13~14歳が301人、15~17歳が442人。国勢調査の結果に基づいたウェイトバックが行われている。保護者に該当する対象は1058人で同様の手法で調査されている。
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