1000万世帯超えの共働き世帯の現状
共働き世帯はすでに1000万を超えてなお増加中
核家族化の進行と消費性向や可処分所得の変化に伴い、共働きはごく普通のライフスタイルとなりつつある。その現状を内閣府の男女共同参画白書から確認する。
次に示すのは共働き世帯、そして男性雇用者と無業の妻から成る世帯の動向。夫婦世帯の様式としては他に、女性雇用者と無業の夫のパターンがあるが、今件では省略する。
グラフ中の項目で「男性雇用者と無業の妻からなる世帯」とは「夫が非農林雇用者で、妻が非就業者(非労働力人口か完全失業者)」、「雇用者の共働き世帯」とは「夫婦ともに非農林業雇用者の世帯」を意味する。
今件データの対象となる「夫が勤め人、妻が専業主婦」世帯と共働き世帯数の推移としては、「夫が勤め人、妻が専業主婦」世帯が1990年まで漸減、それ以降はしばらく横ばい。しかし2000年以降は再び漸減の傾向にある。一方で共働き世帯は1990年まで漸増、それ以降は横ばい。しかし2005年あたりから再び増加に転じつつある(厳密には金融危機ぼっ発以降は漸減、震災の年から増加に転じている。
両項目の関係で見ると、1990年から2000年の間はほぼ同数で推移しているが、2000年以降は1990年以前と比べて逆転現象が起き、「共働き世帯数>>夫が勤め人・妻が専業主婦世帯」の構図が維持されている。しかも両項目の差は年々広がる傾向にある。これは夫の可処分所得の減少を妻がパートで補う、妻が働きやすい非正規雇用の仕組みが整備された(あるいは企業による需要が増えた)ことなどを起因とする。
全世帯比率を算出
さまざまな様式からなる世帯数の合計は、世帯構成人数の減少に伴い増加傾向にある。そこで単純に共働き世帯数の推移だけでなく、「全世帯に占める割合」も算出して検証を行う。世帯数そのものは「国民生活基礎調査」から容易に取得できるため、これを用い、比率計算を行う。
「就労夫に専業主婦」の割合が年々減少している(約30年で半減近く)一方、「全世帯数に占める共働き世帯の占める割合」は1990年以降ほぼ横ばいを維持しているといった、意外な結果が確認できる。
これは年金生活者や単身生活者の増加により、日本の世帯数そのものが増加現象にあるので、(共働き世帯数そのものが増加していても)全体に占める比率としては一定率が維持されたままになる仕組みである。
「共働き世帯数の全世帯数比率がほぼ2割を維持」し続けている理由については、納得のいく説明が見つからない。裏付けとなる社会的規範・法令の変化があれば良いのだが、それも見当たらない。不思議な現象だが、社会構造学的にこのような均衡が自然に生じる結果となった可能性はある。
見方を変えれば、この比率がさらに上向くようなら、社会全体として大きな変化が生じていることのシグナルととらえるべきだろう。
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