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音楽コラボ花火が人気!2023年の『唱』『アイドル』に続き2024年の花火大会を席捲する曲は?

やた香歩里花火鑑賞士な旅ライター
2023年 常総きぬ川花火大会 Ado「唱」(山﨑煙火製造所)

2024年もいよいよ花火大会シーズン到来!様々な花火が上がりますが、音楽とコラボした花火は人気プログラムの1つ。それに特化した花火大会もあるほどです。

好きな曲が流れると嬉しいし、どんな曲が使われるか、予想するのもワクワクします。近年よく使われていた楽曲や、花火ファンに聞いた「今年はどんな曲が来る?来てほしい?」をまとめてみました。

花火と音楽のコラボって?

音楽と一緒に打ち上げる花火は近年多くの花火大会に取り入れられています。呼び方は、「音楽つきスターマイン」や「ミュージック花火」など、花火大会によってさまざまですが、よく聞かれるのは「ミュージックスターマイン」という呼称で、略して「ミュースタ」なんて呼ばれたりもします。

BGM的に音楽が流れている中で花火があがるようなものもありますが、人気が高いのは、音楽のリズムやメロディに合わせて打ち上げられるプログラム。曲の盛り上がりに合わせて一気に花火が開いたり、ビートに合わせて小刻みにトラの尾やザラ星(いずれも地上から吹き上げる花火)が上がったりと、ダイナミックな演出で音楽を表現します。音ハメがバシッと決まった時の爽快感は鳥肌モノ!

同じ曲がいろんな花火大会で使用されることもありますが、会場によって打ち上げ条件が異なり、また、担当する煙火店によって個性が出るので、それも楽しみなポイントの1つです。

使用される音楽は、クラシックやポップス、映画音楽からご当地のCMソングなど、本当にさまざまですが、アニメやドラマ、映画の主題歌などは特によく使用されていますね。

まずはここ5年ほどの、使用曲の流れをみてみましょう。統計を取ったわけではないので私個人の印象になりますが、花火大会で使われる曲のトレンドをざっくり感じていただければ。

2022年 真駒内花火大会 official髭男dism「Cry Baby」(日本橋丸玉屋)
2022年 真駒内花火大会 official髭男dism「Cry Baby」(日本橋丸玉屋)

2019年

この年の花火大会を席捲したのはなんといってもクイーン。2018年秋に公開され大ヒットした映画「ボヘミアン・ラプソディ」の影響で、『ボヘミアン・ラプソディ』はもちろん、『We Will Rock You』『I Was Born To Love You』など、たくさんの曲が多くの花火大会で使用されました。ほかに日本では2018年2月公開の映画「グレイテスト・ショーマン」から、『The Greatest Show』『This is me』も、2018年に引き続きよく使われていたと思います。
また、米津玄師さん作詞作曲・Foorinが歌う『パプリカ』も、この年たくさん流れた曲の1つ。

2020-2021年

そしてコロナ禍に突入した2020年。2020~2021年にかけて多くの花火大会が中止になったことは記憶に新しいと思います。その中でも開催にこぎつけたいくつかの花火大会で多く流れたのが、2019年に放送され大ヒットしたアニメ「鬼滅の刃」の主題歌『紅蓮華』(LiSA)。そして2020年冬~2021年にかけては、劇場版「鬼滅の刃 無限列車編」の主題歌『炎』(LiSA)がたくさん流れました

2022年

少しずつ復活する花火大会が増えてきた2022年。official髭男dismの『Cry Baby』、10‐FEETの『第ゼロ感』などアニメの主題歌はやはり強かったですが、なんといってもよく流れたのは、「鬼滅の刃 遊郭編」の『残響散歌』(Aimer)。スピード感がありインパクトの強い曲調に加え、オープニング映像に花火が上がるシーンがあって、花火とイメージが繋がりやすかったのも理由の1つだと思います。そして劇場版「ONE PIECE」の主題歌『新時代』(Ado)も、年の後半からは高頻度で聞かれた曲でした。

2023年

ようやくほとんどの花火大会が復活したこの年、Adoの『新時代』は引き続きよく使われていましたが、後半にぐっと存在感を増したのが『唱』でした。それと双璧をなすようにたくさんの花火大会を席捲したのが、YOASOBIの『アイドル』。この曲が流れた瞬間の「来た!」というざわめきと期待感はすごかったです。リズムが独特で、実際のところ花火と合わせやすい曲ではないように思いますが、その分、担当各社の工夫が見えたところも面白かったです。

2023年 赤川花火記念大会 Ado「新時代」(紅屋青木煙火店)
2023年 赤川花火記念大会 Ado「新時代」(紅屋青木煙火店)

さてそれでは2024年は?

それでは今年、2024年はどんな楽曲が使われそうでしょうか? 私自身はあまり音楽に詳しくないので、花火ファンの方のお知恵もお借りしつつ、予想してみました。また、こんな曲を使ってほしい!というご意見もいただきましたが、花火慣れしている人ならではのご意見も集まりましたよ。

「鬼滅の刃」はやっぱり強し!?

この数年間、花火大会での使用曲上位を占めていた「鬼滅の刃」は、「柱稽古編」のMY FIRST STORY × HYDEの曲も強かろうと思われます。あえてエンディングの『永久‐トコシエ‐』から主題歌の『夢幻』へ!というなかなかマニアックなご意見も。

アップテンポな『花になって』はミュースタ向き!

「薬屋のひとりごと」の主題歌、『花になって– Be a flower』(緑黄色社会)は、アップテンポでノリやすい曲。すでにいくつかの花火大会で使われており、8月3日(土)開催の「なにわ淀川花火大会」も使用曲として告知しています。もともと緑黄色社会の楽曲は使用頻度が高いのですが、明るくてパワフルなボーカルは夏っぽいし、花火と好相性だと思います!

意外にテッペンとるかも?「Bling-Bang-Bang-Born」

「マッシュル-MASHLE- 神覚者候補選抜試験編」の主題歌、Creepy Nutsの『Bling-Bang-Bang-Born』も今年注目の曲として名前が上がりました。すでに逗子海岸花火大会や真駒内花火大会で使われたそう。シュールな曲でテンポも速く、花火向きか?と言われると違う気もするのですが、流れると客席が一気に盛り上がるのがわかります。もしかしたら今年一番くらいに使われるかも?

子供にも人気のポケモン主題歌、IVEの「Will」

今年の4月から「ポケットモンスター」の主題歌として流れている、韓流アイドルIVEの『Will』を推す声も。ノリがよくポップな曲だし小さいお子さんも楽しめて、若い世代も盛り上がりそうです。

やっぱり今年は外せなさそうな「葬送のフリーレン」

アニメの開始が2023年9月だったので、今のところまだあまり使われていないように思いますが、人気作なので今年は使われそう。あえてエンディングの『Anytime Anywhere』(Milet)で見てみたい、しっとりパートは大玉で魅せて欲しい!との声も。

懐かしくて新しい、『Get Wild』は来るか!?

アニメ曲に入れていいのか微妙なところですが、「シティハンター」のエンディングテーマとして大ヒットした『Get Wild』(TM Network)、今年は鈴木亮平さん主演のNetflix映画が話題を集めたこともあり、再び注目されています。この曲が最初に流行ったのは1987年、当時はまだ花火と音楽のコラボは少なかった(なかった?)ものと思われますし、令和に蘇って花火大会に使われるとしたらアツい! 意外に若い人も知っている名曲なので、幅広い年代で盛り上がりそう。

やっぱり定番?ドラマ主題歌やテーマ曲

半年間、週5で流れる朝ドラの曲はやはり馴染みやすいためか、『アルデバラン』(AI)などはもはや花火定番曲と言えそうなくらいよく使われていますが、今年前期の「虎に翼」の主題歌『さよーならまたいつか』(米津玄師)を挙げる声もありました。ヒロインのモデルとなった三淵嘉子さんの弟さんは花火師であったということなので、今後のドラマの展開次第ではさらに期待が高まるかも?

「朝ドラメドレーは老若男女に好まれると思う。大河メドレーも気になる」との声も。大河ドラマのテーマ曲も、ドラマチックで花火と相性が良いと思います。今年の「光る君へ」のテーマ曲は流麗で艶やかな印象なので、和火(昔からある、炭火色の花火)や紫、橙や緑など中間色の花火と合いそう。
朝ドラ、大河ドラマとも、作品と関係のある、いわゆる「ご当地」で流れることが多いので、関係のある地域の方は期待大です!

また2024年春期ドラマでは「アンチヒーロー」が大ヒットしましたが、主題歌『hanataba』(Milet)に引き込まれた人も多いはず。繊細な旋律と荘厳なクライマックスが、胸に迫るプログラムになる予感!

ちょっと変わったころでは…

「使われそう」というよりは「使ってほしい」「この曲でスターマインが見たい!」という期待の声が聞かれた曲もあります。

『想像以上』(PRODUCE 101 JAPAN THE GIRLS)

「ミュースタ映えしそう!ところどころ変拍子の音ハメ、絶対気持ちいいと思うし、歌詞もキラキラしているアイドル曲で絶対楽しい!」との楽しいプッシュをいただきました。確かに、自然に身体が動き出すようなリズムと、カッコよさもありつつキュートな楽曲で、オープニングにきたら一気にテンションが上がりそうです!

好きなアーティストのミュースタはいつでも見たい!

Mrs. GREEN APPLE『インフェルノ』やバラードで

浜崎あゆみさんの曲で!

など、その年の流行に縛られず、好きなアーティストの曲でスターマインが見たい!という声はやっぱり上がりますね。バラードなど、スローな曲は間延びしそうにも思えますが、見せ方によってはものすごく泣けるプログラムになるんですよね。

EDMなどのダンスミュージック

EDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)などのダンスミュージックのプッシュも。確かに身体が動きだしそうな音楽は、花火の躍動感ともピッタリ。実際使用されることもありますが、盛り上がりますね!

意外な曲こそ、唯一無二のインパクト?

YMOの『千のナイフ』とのご意見があり、思わず渋い!と声が出ました。あえて定番ではない、難易度の高そうな曲で見てみたいと思うのは、たくさんの作品を見ている花火ファンならではの期待感かもしれません。

また、高校生シンガーtuki.の『晩餐歌』を挙げる人も。2024年春の三陸花火大会で使用されたそうですが、意外さにざわつきが起こったとか。伸びやかで素敵な歌声ですが、アコースティック感が強いので確かに花火のイメージはなかったかも。

花火向けのイメージではない曲が強いインパクトを残す好例かもしれません。

2022年 能代の花火 「We Are Confidence Man(ドラマ「コンフィデンスマンjp」テーマ曲)」(伊那火工堀内煙火店)
2022年 能代の花火 「We Are Confidence Man(ドラマ「コンフィデンスマンjp」テーマ曲)」(伊那火工堀内煙火店)

花火×音楽が楽しい花火大会は?

さて、そんな音楽とのコラボ花火が特に見どころとなっている花火大会をいくつかご紹介します。

赤川花火大会(山形):8月17日(土)開催

広大な赤川河川敷を舞台に、全国から集まった煙火店がダイナミックなミュージックスターマインを多数披露する花火大会。

印象に残ったミュースタは?との問いに複数の方から声が上がったのがこの花火大会です。「赤川花火の伊那火工堀内煙火店のスターマインは、運営の選曲と煙火店の打ち方がマッチしている」というコアな花火ファンならではのご意見も。2016年の、紅屋青木煙火店担当の『有頂天』(B’z)、2019年の伊那火工堀内煙火店担当の『Bloom』(Superfly)を挙げた方もいて、たくさんの花火大会を見ている方に人気が高いのも特徴です。

みなとみらいスマートフェスティバル(神奈川):8月5日(月)開催

時間は約25分間と短いながらも、立て続けの音楽と花火の競演で盛り上げる花火大会。ヨコハマの港夜景を背景に、日常を吹き飛ばすようなパワフルな花火と音楽が一気に駆け抜けます。

なにわ淀川花火大会(大阪):8月3日(土)開催

5部制で5つの煙火店がプログラムを披露します。すでに予告済みのプログラムには、Official髭男dism、緑黄色社会、SEKAI NO OWARI、SPYAIR、YOASOBIと、そうそうたる人気アーティストの名前が。約1時間、怒涛のプログラムを満喫できます!

利根川大花火大会(茨城):9月14日(土)開催

大曲と土浦の2つの全国花火競技大会の両方で内閣総理大臣賞という最高峰の賞を受賞した煙火店4社が集まる花火大会。多彩な選曲のミュースタでがっつり各煙火店の個性が味わえるのが最大の魅力です。

「芸術花火」シリーズ

約50分間、MCなしのノンストップで音楽とコラボした花火を打ち上げる花火大会。まれにアーティスト限定やアニソン限定などもありますが、基本的に選曲の幅は非常に広く、最新曲から昭和の名曲、クラッシックに映画音楽と多彩。今後は9月7日(土)に札幌で「北海道芸術花火」が、9月28日(土)に宮城県亘理町で「東北未来芸術花火」が、11月2日(土)に泉佐野市で「大阪芸術花火」が開催されます。

「SUGOI花火」シリーズ

2022年のQUEENに始まり、THE ROLLING STONESやB’z、松任谷由実など、大物アーティストの楽曲で構成された花火大会が特徴。今後は8月2日(金)に、福岡のミクニワールドスタジアム北九州にて「北九州シティポップ花火」を開催します!

2024年 桜島と芸術花火 緑黄色社会「花になって」
2024年 桜島と芸術花火 緑黄色社会「花になって」

最後に、異色のミュースタをご紹介

「印象に残ったミュースタ」として挙がったなかにはこんな作品もありました。意表を突く表現に、花火ってこんな楽しみ方もできるんだと驚かされます。
いや、「笑わせる」という難しいことを花火でやるって、本当にすごいと思うんですよ。

「ラジオ体操第一」(2015年 北上・みちのく芸能祭)

あの名曲(?)に合わせ、花火が腕(トラの尾)を右に左にぐいーんぐいーんと振ったり、大きく胸(?)をそらしたりする姿に爆笑必至。のちに多数のインスパイア作品が生まれたという衝撃作。

「南の島のハメハメハ大王」(2022年 長野えびす講煙火大会)

歌詞に合わせ、リズムよく夜闇に浮かび上がる、花火が描く「ハメハメハ」の文字。直球すぎる表現に場内騒然。

2022年 長野えびす講煙火大会 「南の島のハメハメハ大王」(紅屋青木煙火店)
2022年 長野えびす講煙火大会 「南の島のハメハメハ大王」(紅屋青木煙火店)

さあ、今年の花火大会はこれからどんどん開催されていきます。

様々なプログラムとの出会いをぜひお楽しみください!

花火鑑賞士な旅ライター

宮崎生まれの大阪育ち。人生の約半分を京都で過ごし、現在は千葉在住。もとからの旅好きが、関東移住を機に花火にはまり、旅の目的に花火鑑賞が加わりました。遠くへの旅行も好きだけど、身近なお出かけも好き。どこかで見た素敵なものを、誰かに伝えたい。知って欲しい誰かと知りたい誰かを繋ぎたい。日本酒ナビゲーターで温泉ソムリエで花火鑑賞士な旅人。

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