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新潟での中日戦は1勝1敗 2戦目は小川投手に完封負けを喫した阪神ファーム

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
三条名物?『第2回 ウエスタン戦 総選挙』で、最高票を獲得した北條選手。

きのう27日の朝は大きな雨音で目が覚めました。新潟県三条市の天気予報は明け方から雨だったんですが、まさか土砂降りになるとは思わず…ホテルの部屋のカーテンを開けて、窓を叩く雨をしばらく見ていました。これは中止かなあと。でもしばらくすると空が明るくなり、道路も乾いてきたのです。その後も降ったり止んだり。ただ10時頃にまたザッと降ったため、三条パール金属スタジアムのグラウンドも少し水が浮いた状態になりました。

しかし毎年、梅雨であろうが真夏であろうが必ず雨に遭遇する三条でのウエスタン公式戦。球場管理の方々は慌てる様子もなく「想定内」と涼しい顔でした。その言葉に雨雲が退散したのか、時には日差しも届くほど天気回復。試合中はもうまったく降らなかったのですから、三条市やファンの皆様の執念が勝ったのでしょう。2連戦が問題なく消化できたのは本当に珍しいこと。よかったですね。

朝の雨で熱気が一気に取り払われ、野球観戦にはもってこいの日曜日でした。前日は36度を超える猛暑で、体調が悪くなったため試合途中から退いた緒方選手と審判の今岡さんも復帰。緒方選手は元気に練習をしてベンチ入り、今岡さんは一塁塁審を務めました。早めの退場が奏功したようで、大事に至らなくて何よりです。

全員対象のファン投票、1位は北條選手

さて球場では、昨年から始まった『ウエスタン戦総選挙』という、いわゆるファン投票が行われました。監督やコーチも含め、今回参加している両チームの全員が対象。昨年も同じ中日戦だったんですが、顔ぶれは少しずつ違いますね。昨年の第1回王者は新井良太選手でした。

ことしも26日と27日の11時半まで投票を受け付け、試合前に表彰。最多得票で、阪神の1位に輝いたのは北條選手(37票)です。ついで緒方選手(24票)、柴田選手(16票)で、平田監督は10票。番外編で写真を掲示されていた東マネージャーも7票あったとか。中日は1位が堂上直選手の20票、英智コーチが19票、小田選手17票という順番でした。

《ウエスタン公式戦》7月27日

阪神-中日 20回戦 (新潟県三条市)

中日 000 010 200 = 3

阪神 000 000 000 = 0

◆バッテリー

【阪神】●鶴(1勝2敗)-加藤-建山-高宮‐西村 / 清水

【中日】○小川(4勝5敗)(9回) / 赤田

◆本塁打 古本4号2ラン(加藤)

◆二塁打 陽川

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策) 打率

1]中:柴田 (4-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .243

2]遊:北條 (4-1-0 / 2-0 / 0 / 0) .254

3]二:黒瀬 (4-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .267

4]一:陽川 (4-2-0 / 2-0 / 0 / 0) .260

5]指:原口 (4-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .265

6]捕:清水 (4-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .179

7]右:中谷 (3-0-0 / 1-1 / 0 / 0) .176

8]三:西田 (3-2-0 / 0-0 / 0 / 1) .226

9]左:横田 (2-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .196

◆投手 (安-振-球/失-自/防御率)

鶴   6回 89球 (5-4-0 / 1-0 / 2.42)

加藤  1回 23球 (2-2-0 / 2-2 / 9.00)

建山 0.2回 7球 (0-0-0 / 0-0 / 0.00)

高宮 0.1回 2球 (0-0-0 / 0-0 / 2.81)

西村  1回 12球 (0-0-0 / 0-0 / 5.70)

好投の鶴 自身のエラーから失点

先発の鶴は1回、先頭の古本に中前打されますが、溝脇はバントした打球が自身に当たり守備妨害、堂上直は遊ゴロ併殺打と3人で片づけました。2回は2死からサード西田の捕球エラーと岩崎の左前打があったものの無失点。3回は三者凡退で、4回はヒット2本を許しながら0点に抑えます。しかし5回、先頭の藤澤を内野安打(ショート北條がよく捕るも送球高め)で出し、1死後に古本の投ゴロを鶴が二塁へ悪送球。これで1死一、三塁となり溝脇がスクイズ。見事に決まって1点を先に失った鶴。6回は三者凡退で役目を終えました。5安打1失点(自責0)、最速は144キロです。

9回を三者凡退の西村投手。全部レフトへのフライでした。横田選手を鍛えてあげた?
9回を三者凡退の西村投手。全部レフトへのフライでした。横田選手を鍛えてあげた?

7回は加藤が前日に続いての登板。2死を取ってから9番の赤田に中前打され、続く古本にレフトへ4号2ラン。溝脇は空振り三振と、2三振を奪いながら2点を追加されました。8回は同じく連投の建山が堂上直と福田を打ち取って、2死で交代。次の堂上剛は高宮が中飛に仕留めています。9回は西村が、まず赤坂を初球で左飛に、岩崎は2球で追い込んでから粘られるも左邪飛(横田スーパーキャッチ!)、藤澤も左飛で三者凡退。

中日・小川の変化球に苦戦

打線は2回、陽川が三塁線を破る二塁打を放ちましたが、後続を断たれて無得点。3回は西田の右前打、横田が初球でキッチリ送って柴田の一ゴロで2死三塁とするも、北條は2打席連続の見逃し三振。4回は陽川の左前打のみ、5回は中谷が四球と西田の犠打などで2死三塁となりましたが、やはり還せず。6回は黒瀬がショート溝脇のエラーで出ただけです。7回2死から西田の右前打と横田の左前打があったものの、柴田は左飛。これが唯一の連打でした。あ、そういえば中日は連打がありませんね。8回に北條は中前打しますが後続をピシャリ…。そして9回は三者凡退で試合終了。

中日の先発・小川投手の変化球、特に山本昌投手から教わったというチェンジアップに翻弄された感じがします。小川投手は5年目で、これがプロ初完封勝利でした。

ご想像いただけるかと思いますが、試合後は一気にバスに乗り込むので選手の話は短め。ほぼ、ひとことコメント集です。ご了承ください。

「変化球で収穫がありました」

鶴投手は2年連続の新潟遠征。もと阪神の横山龍之介さんは、会えて喜んでいますが。
鶴投手は2年連続の新潟遠征。もと阪神の横山龍之介さんは、会えて喜んでいますが。

鶴投手は「課題としているスライダーやチェンジアップを試せたので、それが収穫です。あとは自分のミスで失点したことを反省」と言っていました。久保投手コーチによれば「スライダー、チェンジアップ、それとフォークの使い方。スライダーとチェンジアップは少し変更しているからね。今まで通りじゃダメだと。新しい球を増やすのではなく、持ち球をどう使うか。バッターによって内とか外とか、使い方で大きく変わってくる。他の投手もみんなだけど、その可能性を見出してくれれば」という意図です。

平田監督の鶴投手評は「フィールディングのミスはあったけど、粘り強く投げた。1失点だが実質(投球内容)は0点のようなもの。争うピッチャーのレベルがものすごく高くなっているから、パーフェクトに抑えないといけないみたいに言われるが、ピッチャーはよう投げとるよ」でした。

連投となった2人のことも聞いています。7回2死から2点を失った加藤投手には「ホッとしたわけじゃないだろうけど、カウントを取りにいった球が…。もう少し球のキレが上がらないとな」で、8回に登板した建山投手は「きのうインコースが甘かったが、きっちり修正してきた。調子上がってきたんじゃないか?実戦のカンが戻ってきた」と太鼓判。建山投手は、そろそろ1軍でタテジマデビューでしょうかね。

この日の建山投手は右打者2人をキッチリ抑え、「実戦カンが戻った」と平田監督。
この日の建山投手は右打者2人をキッチリ抑え、「実戦カンが戻った」と平田監督。

その建山投手本人は「インコースにきっちり投げられてよかったです。堂上(直選手)のところで少し甘かったけど。きのう言っていた三塁側の球(右打者のインコース、左打者のアウトコース)は、打者が振ってファウルになったりしてきている。きょうぐらいの形を出せれば」とのこと。また加藤投手は「スライダーに頼りすぎている部分がありますね。真っすぐの精度を上げていかないといけない」と話していました。

マルチが2人、でも賞品はゼロ

三条での試合は毎年、ホームラン賞、猛打賞、三塁打賞、勝利投手賞、セーブ投手賞など様々な賞品が用意されています。26日はホームランの森田選手と勝ちがついた岩貞投手らが獲得したんですけど、27日の阪神は何もありません。マルチヒットも2人だけでしたからねえ。

惜しくも二塁打(は賞なし)を含む2安打だった陽川選手。「3安打で何がもらえたんですか?」と興味はあったようです。しかし打ちあぐねた選手が多かった、小川投手のチェンジアップを4回に左前打!「メッチャ落ちますね。うまく拾えたと思います。たまたまです」と控えめなコメント。

前日の野球教室で“強打者”の打球を受けて倒れる西田選手。みんな何故か大笑い!
前日の野球教室で“強打者”の打球を受けて倒れる西田選手。みんな何故か大笑い!

もう1人、右前打2本の西田選手は「あー悔しいっすわ。最後、抜けたと思った!」と9回裏2死ランナーなしでピッチャーゴロを打ち、試合が終わったことを悔やみます。「あれ右ピッチャーやったらセンタ―前でしょう?左やから捕られたんですよ」。なるほど、6月6日以来の3安打となるはずが捕られましたか~。そりゃ悔しい。マルチヒット自体も1ヶ月半ぶりくらいです。ここからまた打率を上げていきましょう!

横田 ナイスファイトの好捕!

この試合だけで7つのレフトフライ(うちファウル2つ)を捕った横田選手。走りながら“わしづかみ”というキャッチもあり少しヒヤヒヤしましたが、こんなに実戦で経験できるのはありがたいですね。9回のレフトフェンス際で捕球した時は歓声も上がり、ベンチで先輩方にほめられてニコニコ。あれは捕れる自信あった?チャレンジしたね。「ファウルなのでエラーしてもいいと、思いきっていきました!」。初めての新潟、最後の打席でヒットも出たし、いい締めくくりです。

あすは新潟・三条で再会した懐かしい2人、そして久しぶりにお会いしたご家族の話などをご紹介します。お楽しみに。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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