楽天モバイルに残されたチャンスをポジティブに考える 石川 温の「スマホ業界新聞」Vol.528
--------------------------------------------------------------------------------------
石川 温の「スマホ業界新聞」
2023/08/19(vol.528)
--------------------------------------------------------------------------------------
8月18日夜、NewsPicksの『緊急生配信「どうなる楽天!?」徹底分析』という番組に出演した。中田敦彦氏がMC、堀江貴文氏、元日経記者の大西康之氏、元NHKの池田信夫氏らとともに楽天についてあれこれ議論した。今回のメルマガは特別編として、番組で個人的に語るタイミングを逃した「楽天モバイル、浮上の可能性」について書いていきたい(番組全編はNewsPicksのプレミアム会員が視聴可能。番組冒頭1時間は堀江貴文氏のYouTubeチャンネルでも配信)。
《目次》
1.楽天はポイントだけが「経済圏」ではないはず
----auフィナンシャルホールディングスを見習うべき
2. タレック・アミン氏という船頭を失った楽天シンフォニー
----救世主はOpenAIのサム・アルトマンCEO?
3.今後、3年間で1兆円規模の社債償還が迫る
----楽天モバイルはもはや「国家」プロジェクト?
4.今週のリリース&ニュース
5.編集後記
--------------------------------------------------------------------------------------
1.楽天はポイントだけが「経済圏」ではないはず
----auフィナンシャルホールディングスを見習うべき
------------------------------------------------------------------------------------------
3時間にわたる対談では「楽天はMVNOのままでよかったのでは」という雰囲気になり、逆境を跳ね返すのは難しいのではないかという結論になりつつあった。なかなかポジティブな話にならないなか、個人的にはまだ楽天モバイルには浮上のチャンスは残されているような気がしている。
楽天モバイルは、やはりまだ「楽天経済圏の活用」がまるでできていない。単に「ポイント」を付与するだけでは、特定の人にしかなびかない。そもそも、ポイントに興味のない人を振り向かせることはできないだろう。
議論のなかでも少し触れたが、起爆剤としては、例えば楽天モバイルのユーザーであれば、楽天銀行と一緒に使えば、預金の金利が上がり、住宅ローンの金利が優遇され、外貨預金や楽天証券の手数料が安くなるといった「金融的なお得」で、楽天経済圏を活性化できるのではないか。
すでにauであれば、auじぶん銀行で「au金利優遇」として、au回線とじぶんでんきとのセットで住宅ローンが年0.1%、引き下げられるという優遇策を展開している。
また、じぶん銀行とau PAYカード、カブコム証券、au PAYとの連携で、円普通預金金利が通常、0.001%なのが最大0.2%になるといった優遇策も展開中だ。
KDDIでできて、なぜ楽天経済圏で実現できないのか。
楽天モバイルが一気にユーザーを増やすには、すでに楽天銀行や楽天証券を使っているユーザーにNTTドコモやKDDI、ソフトバンクから乗り換えてもらうことだろう。
さらに「通信料金の節約」に興味が無くても、金融的にお得になることには敏感なユーザーを捉えることが重要なのではないか。
楽天モバイルのデータ使い放題で3278円に響かない層でも、楽天銀行で普通預金の金利が優遇される、住宅ローン金利が下がるというだけでも引きがあるはずだ。
こうした金融との連携は、そもそも銀行を持たないNTTドコモには難しく、銀行を持っていても、ヤフーとLINEでID統一ができてないソフトバンクも実現するには時間がかかる。
この記事は有料です。
石川 温の「スマホ業界新聞」のバックナンバーをお申し込みください。
石川 温の「スマホ業界新聞」のバックナンバー 2023年8月
税込550円(記事4本)
2023年8月号の有料記事一覧
※すでに購入済みの方はログインしてください。