「引退という言葉は使いたくない」第一線から退く諸見里しのぶが本音で語った“これからのこと”
今日から開幕する女子ツアーの「大王製紙エリエールレディスオープン」に出場する諸見里しのぶ。
20日に来季の出場権をかけたクオリファイング・トーナメント(QT=予選会)に出場しないことを表明し、ツアー第一線から退く意向を表明した。
諸見里は国内ツアー通算9勝の実績を誇り、沖縄出身の宮里藍と同郷。2009年には賞金ランキング2位になり、女子ツアーをけん引してきた存在だ。
ただ、近年はケガに悩まされ、13年以降は賞金シードを獲得できずにいた。今季のツアー出場は9試合に留まり、すべて予選落ちしている。
今年33歳。まだまだ現役を続けられる年齢ではあるが、万全な状態で試合に出られない状態が続き、少しずつ自分に何ができるかを考えるようになったのだろう。
先週の伊藤園レディスに取材にいった際、諸見里に話を聞く機会があったのだが、その時に今後に向けての胸中を語ってくれていた。
「私はゴルフで学ばせてもらったことがすごく多かったです。ゴルフをやってこられたから学べたことがたくさんあります。一番は周りに感謝すること。ゴルフが続けられる環境だったり、こんな私でも注目していただけたりして……。本当にいろんな人に支えられながらプロゴルファーとしての生活をやってこられました。それを今後も生かしていきたいという思いが強いです」
ゴルフから様々なことを学び、ゴルフがあったからこそ今の自分があることに感謝していた。
諸見里が続ける。
「せっかく『プロ』になり、私にはその資格があるのでこれからもゴルフを続けたいという思いがあります。それを大切にちゃんと持っておきたい。またいつか試合で優勝争いしてみたいとか、またトーナメントで自分のレベルを試してみたいとか、そう思ったときは試合に出てみたい。出られる資格があるのなら、『完全に引退します』という言葉は使いたくないです。『今後もプロゴルファーとして』という気持ちはあります」
つまり、プロゴルファーとして、いくつかの試合に出ることも想定しつつ、今後の活動の方向性を考えていきたいということだ。
来季の開幕戦を予定している「ダイキンオーキッドレディス」は諸見里の所属先でもあるため、「地元の大会なので主催者推薦があれば出場させていただきたい」とも話していた。
「ゴルフ界のためにできること探す」
ただ、ここまでの決断に至るまでは、「相当悩んでいた」ことも正直に吐露した。
「正直、すごく悩みました。今まで自分がゴルフしかやってこなくて、これからの自分に何ができるんだろうって……。ものすごく迷っていましたし、ゴルフ以外に他にやりたいことがあるのかといえば、そういうことではなくて……。でも一番は、ジュニアのころからたくさんに人に支えられたからプロになれたこと、プロになってからもケガをしたり、ゴルフが嫌になることもたくさんあったのですが、そのたびに周りの人たちが支えてくれました。何よりもそれが一番大きかったと思いました」
その上で諸見里が導き出した結論はこうだ。
「自分がどのようにゴルフ界に貢献できるのか。自分自身も成長するためにできることを考えました。これからの人生もすごく長いと思うし、ゴルフに携わって、ゴルフ界のためにできることを探したいという気持ちが強いです」
これからの自分の成長と共に、ゴルフ界への貢献を一つの目標に定めている。
そして「今後の仕事で一つ決まっているのは、コースセッティングのメンバーに入れてもらったことです。来年はステップ・アップ・ツアーのコースから、先輩につきながら、勉強させていただこうと思っています」と語った。
第一線を退くとはいえ、プロゴルファーとして活動の幅をどんどん広げていきたいという諸見里。
最後に「人生の勉強の期間にしたいと思っています」とすがすがしい笑顔を見せていた。
これから表舞台に出ることは少なくなるとはいえ、第2の人生をまずはゴルフ界のために力を注いでいく。