「爆破予告」はテロである!
先週から都道府県単位だけでなく市町村等への「爆破予告」が続いています。自治体だけでなく、教育委員会等関連団体にも送られ、先週末から週明けにかけ、その対処に追われています。一部には、犯人と思われる人が自供し、逮捕拘束されているということですが、その後も、各所に、良く似た手口(文面)での予告がなされていることから、独立した複数の模倣犯の存在が危惧されています。一時期、青少年を中心とした、いわゆるネットでの「犯行予告」が話題になりました。実際に、その「犯行予告」どおりの悲惨な事件も起こっていることから、深刻な問題として取り上げられました。この「犯行予告」を行う大半は、些細な「イタズラ」としての意識が根底にあっても、実社会では大きな混乱を引き起こすことから、警察を中心とした捜査側によって厳格な取り締まりを行うとともに、ほとんどが摘発されることとなりました。ネット内でも自浄作用がはたらいて、罰則以上の報復、つまり「炎上」や個人情報の「晒し」といった過度の報復を受けることから沈静化しているように見えていました。
しかし、これは新聞やテレビ、いわゆるマスコミでの話題性を失ったこと、模倣犯や刺激を受けての青少年のイタズラの増加を危惧して話題にすることを控えている結果であって、実際は増加しているのです。ネットでの「犯行予告」が問題となった当初から、それまでの手紙や電話による犯行予告に比較して、その犯行に至る「障壁」が非常に低いことから、特に倫理意識が低い青少年のイタズラとして問題視されました。手紙であれば、文字を書いて、封筒にいれ、宛名を書いて、投函するという作業が必要であり、その途上で事の重大さに気付くことになり、電話であったとしても、一方的であるとは言え、相手に対話する必要があり、やはり犯行を思い止まる障壁となりました。ネットでは、それらの障壁は低く、特に自治体等では、公開されているウェッブで意見投稿が可能であり、簡単に書き込むことができるのです。理性を押さえる間もなく、犯行予告を投稿してしまうのです。
現在、やはりテレビや新聞等では、模倣犯を危惧する事から、やや自粛気味の報道ですが、改めて、この犯行の「罪と罰」について広く公知すべきでしょう。単なる「イタズラ」で済む事はなく、また「偽計業務妨害罪」という3年以下の懲役または50万円以下の罰金に処されるだけでもなく、とんでもない額の民事賠償や、個人情報の「晒し」といったネット上での報復も有り得るということを知らしめるべきなのです。
テロとは、人の恐怖心を利用して、特定の政治的、宗教的な目的を達成しようとする、組織的暴力の行使、手段、およびそれらによって敵対者を威嚇することです。目的は稚拙としても、恐怖心と敵対者、つまり社会への威嚇と言う意味では、「爆破予告」はテロに他なりません。その犯行の著しい容易さに比較して、非常に重い「罪と罰」を知らしめるべきでしょう。