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海外投資家による米国債保有高は6か月ぶりに減少

久保田博幸金融アナリスト
(写真:アフロ)

 米財務省が11月16日に発表した9月の国際資本収支統計における米国債国別保有残高(MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES)によると、海外投資家による米国債の保有高は7兆5491億ドルとなり、6か月ぶりに減少した。8月は過去最高を記録していた。

MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES https://ticdata.treasury.gov/Publish/mfh.txt

 3月18日に米10年債利回りは1.75%近辺まで上昇した。ここが目先のピークとなり、その後、1.7%近辺で推移後、米10年債利回りはダウントレンド入りした。8月に入り、1.2%を割れたあたりから利回りの低下トレンドがストップし、今度は上昇トレンドとなってきた。9月末には1.5%台を回復し、10月21日に1.7%まで上昇していた。ただし、ここでいったんピークアウトして、11月にかけて1.4%台に低下した。

 あらためて国別の米国債保有残高を確認すると、日本の米国債保有額は1兆2996億ドルとなり、前月比202億ドルの減少となったものの、引き続きトップは維持した。

 2位の中国は1兆476億ドルとなり、前月比で6億ドルの増加となっていた。参考までに9月末の中国の外貨準備高は前月末より315億ドル少ない3兆2006億ドルだった。

 増加した国はルクセンブルク、ケイマン諸島、フランスなど。減少額は日本やアイルランドが大きかった。

 上位10か国の米国債保有額は下記の通り。

国、米国債保有額、前月比(単位、10億ドル)

日本(Japan)、1299.6、-20.2

中国(China, Mainland)、 1047.6、+0.6

英国(United Kingdom) 、566.5、-2.5

ルクセンブルク(Luxembourg) 311.8 +17.9

アイルランド(Ireland) 、309.4 -16.7

スイス(Switzerland)、296.5、+1.8

ケイマン諸島(Cayman Islands )、252.7、+3.5

ブラジル(Brazil)、249.0、+0.1

フランス(France)、242.4、+3.8

台湾(Taiwan)、239.5、+2.3

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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