年賀葉書の発行枚数などをさぐる(2023年用確定報版)
初年は1949年の約1.8億枚、ピークは2003年の約44.6億枚
日本郵便は2023年1月15日、2023年用年賀葉書(はがき)などの当せん番号とともに、確定発行枚数を発表した。その値などを基に、日本郵便(かつては日本郵政公社)が発行している、年賀郵便用の年賀葉書の発行部数の実情を確認する。
日本の郵便行政における年賀葉書の発行は戦後、1949年発行・1950年用のものが初めて(年賀郵便用の年賀切手は戦前から発行されていた)。その当時の発行部数は約1億8000万枚。以後日本の経済復興、人口の増加に伴い枚数を漸増させながら、1964年には10億枚、1973年には20億枚を超える。その動向をまとめたのが次のグラフ。直近の動きを分かりやすくするため、今世紀に限ったグラフも併記した。
2022年発行・2023年用の年賀葉書に関しては、2023年1月15日付で発表された【2023(令和5)年用年賀はがきおよび寄付金付お年玉付年賀切手当せん番号の決定】にある通り、16億7690万8000枚となる。ちなみに2022年用の確定発行枚数は19億860万1000枚だった。
ピークは2003年の44億5936万枚。それ以降は多少の起伏を見せながらも漸次枚数は減少。直近14年間は連続で前年比マイナスを記録しており、2022年発行・2023年用は前年比でマイナス約12.1%(確定発行枚数で比較)。
前年比でプラスを示した最後の年となった2008年は、年賀状印刷に愛用された個人向けの小型印刷機シリーズ「プリントゴッコ」のメーカー販売が終了した年であり、年賀葉書の今後の動向を象徴する出来事の一つであったかのように思えてくる。
人口あたりの枚数を算出
「人口は漸減状態にあるのだから、年賀葉書の需要が減るのも当然では」との意見もある。そこで各年の総人口を総務省統計局の人口推計から抽出し、その人数で年賀葉書発行部数を割った値、つまり「日本にいる人全員が年賀葉書を購入した場合、一人あたり何枚になるのか」を算出したのが次のグラフ。
もう少し起伏に富んだグラフを期待していたのだが、実際には年賀葉書の発行部数推移とほとんど変わらない形となった。これは人口推移そのものが短期間では急激な変化を示しているわけではないことに起因する。そしてピーク時も発行枚数と同じく2003年で平均枚数は34.9枚。直近2022年発行・2023年用分は13.4枚(確定発行枚数で計算)となる。
この「人口」には年賀状を出せない乳児など、そして年賀状を出さない人も含まれている。年賀状を出す人に限れば、一人あたりの平均購入枚数はもう少し上乗せされるはずである。ただし企業などでまとめて出す場合も多々あるため、一般個人としての平均値は、やはり上記算出値程度になるのかもしれない。
インターネットの普及率が今後も上昇を続け、デジタルネイティブ世代が次々と成人化するに連れ、年賀葉書の需要は今後も減少し、発行枚数も減らさざるを得ない事態が続くものと考えられる。時代の成り行きとはいえ、寂しさを覚える人もいるだろう。
一方、昨今ではインターネット経由で直接住所や名前を知らない、ネット上の知り合いにも紙の年賀葉書を出せるサービスが複数提供されている。切り口次第では、年賀葉書の需要の底上げになるかもしれない。
2023年用の年賀葉書に関するお年玉賞品の具体的ラインアップは次の通り。
・1等(6けた)…100万本に1本
現金30万円または電子マネーギフト31万円分または2022年発行特殊切手集と現金20万円
・2等(下4けた)…1万本に1本
ふるさと小包など
・3等(下2けた)…100本に3本
お年玉切手シート
賞品の引換は2023年1月16日から7月18日まで。郵便局に当せん葉書・当せん切手を持参のこと。1等、2等の場合は運転免許証や健康保険証などの本人確認証明書も必要となる。
2023年用年賀葉書の販売は2022年11月1日から2023年1月10日まで(インターネット通販での予約・販売受付は2022年10月24日から12月23日)だった。2024年用の販売などもほぼ同時期になるはずだ。
■関連記事:
【年賀状、メールで送るその理由・「簡単だから」「ゼロ時に送れる」】
【ちょっと気になる年賀状の問題、宛名書きと手書きメッセージ(2015年)(最新)】
(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。
(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。
(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。
(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。
(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。
(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。
(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。
(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。