円が売られる通貨に、見透かされた日銀の異常な金融緩和策
ドル円は13日に一時151円92銭と昨年付けた151円94銭に接近したが、14日の米CPIを受けた米長期金利の低下によって151円を割り込んだが、すぐに回復し16日には再び151円台を回復している。
ドル円については、152円近辺では介入警戒もあって、やや上値が重くなってはいるが、ユーロ円をみるとじりじりと上昇してきており(円安ユーロ高)、ユーロ円は164円台となり、およそ15年ぶりの円安ユーロ高水準を付けている。
15日付日本経済新聞の『円「売る通貨」に定着 対ユーロやフランで下落続く』という記事によると、対スイスフランでは過去最安値を付けたようである。外為市場では円は「売る通貨」としての色彩を強め、低金利の通貨を借りて高金利通貨で運用する円キャリー取引が増えているとも。
結局は金利差が円安の大きな原因となっている。円安は企業利益にプラスに働く面もあるが、物価高となっている日本にあって、さらなる物価上昇要因ともなる。
日銀はしっかりデフレからの脱却を目指すとして、異常な非常時緩和を続けている。しかし、デフレからの脱却どころか、すでに物価は前年比3%、4%という状態にある。
日銀が緩和方向ばかりに向いていることで、安心して円を売ることができる。中立方向に戻そうともしていない。
YCCを修正して、いや修正せざるを得なくなったが、それでもこれは正常化ではないと言い張る。そんな金融政策があって良いのであろうか。たしかに以前にトルコに同様の事例はあったが、そのトルコも向きを変えざるを得なくなった。
日銀もいずれ向きを変えざるを得なくなると思うが、追い込まれてからとなってしまうと、YCCの修正時のように日本の債券市場を機能不全にさせるような事態に陥りかねない。
少なくとも普通の金融緩和に戻す姿勢を示すことは必要ではないか。それすらできないというのは、いったい何を恐れているというのであろうか。