周りの人のたばこの煙を不快に思った場所は男女別や年齢階層別で変化する(2019年公開版)
たばこが忌避される原因の一つに、喫煙者自身だけでなくその周辺にいる人も、たばこの副流煙によって喫煙しているのと同じような状態に置かれて(間接喫煙)しまいかねないとの実情がある。それではそのような間接喫煙をした(ように感じ)たことで、不快に思ったのはどのような場所だったのだろうか。属性別の傾向について、内閣府大臣官房政府広報室が2019年9月に発表した「がん対策・たばこ対策に関する世論調査」(※)から確認する。
今調査対象母集団においては周りの人のたばこの煙について不快に思う人(「不快に思う」+「どちらかといえば不快に思う」)は78.4%に達している。
そこで不快に思う人に対し、具体的にどのような場所で不快に思ったのかを複数回答で聞いた結果が次のグラフ。もっとも多くの人が挙げたのは「食堂・レストラン・フードコートなど主に食事を提供する店舗」で、62.4%の人が同意を示した。
次いで「路上」が53.3%、「居酒屋・バー・スナックなど主に酒類を提供する店舗」が38.6%、さらに「自動車や鉄道などの車内」が29.5%で続く。「路上」は信号待ちや駅前通りなど人通りが多い場所で不意に喫煙者のたばこの煙と遭遇するパターンだろうか。それ以外は閉鎖空間で間接喫煙を強要されるケースが上位に入っている。
これを男女別に見たのが次のグラフ。
間接喫煙をしてしまうことへの不快感を覚えるのには、その場所にいる必要がある。「食堂・レストラン・フードコートなど主に食事を提供する店舗」や「ベランダ・バルコニー・共同住宅の共用部分」で女性が男性よりも特段大きな値を示しているのは当然の話かもしれない。一方で「パチンコ・麻雀・カラオケなどの遊興・娯楽施設」「事務所」では男性の方が女性にかなりの差をつけて高い値をつけているのも納得のいく話。
次いで年齢階層別。
男女別同様、年齢階層別でも、該当する場所に足を運ぶ度合いがそのまま値に反映されている傾向が強い。同じ場所に同じような時間帯・頻度で足を運んでも、年齢階層によって不快に思う度合いが異なるということは考えにくい。
「食堂・レストラン・フードコートなど主に食事を提供する店舗」なら中年層、「路上」「居酒屋・バー・スナックなど主に酒類を提供する店舗」なら若年層から中年層、「自動車や鉄道などの車内」なら中年層。「公園・児童遊園」で30代が飛び抜けているのは、子供を連れて遊びに行く機会が多いからだろう。「病院」は年が上になるに連れて値が増えていく(70歳以上でやや落ちるのは「分からない」の値が増えるため)。
見方を変えればこれらの上位にある場所は、多くの人が該当する「周りの人のたばこの煙について不快に思う人」にとって、禁煙化を推し進めてほしい場所でもある。個々の場所の運営側には色々と考えさせられる結果に違いない。
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※がん対策・たばこ対策に関する世論調査
2019年7月25日から8月4日にかけて、層化2段無作為抽出法によって選ばれた全国18歳以上の日本国籍を持つ人に対し、調査員による個別面接聴取方式にて行われたもので、有効回答数は1647人。男女比は774対873、世代構成比は18~19歳29人・20代126人・30代178人・40代295人・50代268人・60代324人・70歳以上427人。
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