小中高校生のスマートフォンを使った動画視聴動向をさぐる(2019年公開版)
スマートフォンなどの端末の普及によって、その端末を使って動画を視聴するスタイルは、それこそテレビを視聴するかのように人々の日常生活に組み込まれている。そこで実際に、どれほどの小中高校生がスマートフォンで動画を視聴しているのか、その実情を内閣府が2019年5月に確定報の詳細値を発表した、「2018年度青少年のインターネット利用環境実態調査結果」(※)の公開値から確認する。
スマートフォンを持ち、それを使ってインターネットを利用している人に、動画視聴をしているかを尋ねた結果が次のグラフ。動画視聴のスタイルとしてはインターネット経由で閲覧する以外に、ファイルをダウンロードしてオフライン(インターネットに接続していない状態)で観るパターンも想定されるが、今調査ではそれにかかわる調査項目は無い。なお今件におけるスマートフォンは通常型のスマートフォンを意味し、格安スマホなどは該当しない。
スマートフォンを持ちインターネットを利用している人のうち、小学生では約6割、中学生なら3/4強、高校生は8割台が動画視聴をしている。同じ学校種類なら男女差はおおよそ誤差の範囲で事実上差は無いと見てよいだろう。
「スマートフォンでインターネットを使っている小中高校生の6割から8割が動画を観ている」。これは一つの指標ではあるが、全体像がやや分かりにくい。そこで各属性毎のスマートフォンでインターネット利用をしている人の割合を抽出し、それと合算することで、各属性の全体のうち、何%がスマートフォンで動画視聴をしているかを算出した結果が次のグラフ。例えば女子小学生は21.9%と出ているが、これは女子小学生全体の2割強が、スマートフォンで動画を視聴していることになる。
スマートフォンを利用していなければ当然スマートフォンで動画は視聴できず、さらにスマートフォンを利用していてもインターネットへのアクセスが許可されていなければ(今件定義における)動画視聴は不可能。よってスマートフォンの利用状況そのものが多分に反映される形となっている。
小学生は元々スマートフォンの利用率が低いため、値そのものも低く2割強。中学生は4割台、そして高校生は8割近く。「高校生全体の8割近くはスマートフォンを使って動画を視聴している」計算になる。対象となる動画サービスは多様だが、関係方面には小さからぬ驚きを覚えさせる値に違いない。
今件「動画視聴」はその頻度や視聴先は問われておらず、具体的な視聴スタイルは不明。しかし少なくとも「スマートフォンで動画」との新しい娯楽様式について、小中高校生の実情が把握できたのは興味深い。今後スマートフォンの普及が進むに連れ、小中学生にもこの「スマートフォンで動画」はさらに浸透していくに違いない。
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※2018年度青少年のインターネット利用環境実態調査
2018年11月8日から12月9日にかけて、2018年11月1日時点で満10歳から満17歳までの青少年とその同居保護者それぞれ5000人に対し、調査員による個別面接聴取法(保護者は訪問配布訪問回収法)で行われたもの。時間の調整ができない場合のみウェブ調査法(保護者は加えて郵送回収法)を併用している。有効回答数は青少年が3079人(うちウェブ経由は73人)、保護者は3445人(うちウェブ経由は21人、郵送回収法は39人)。
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(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。