Yahoo!ニュース

債券市場関係者による植田氏などへの評価、期待できるが多いが本当に期待できるのか

久保田博幸金融アナリスト
(写真:ロイター/アフロ)

 27日に2月のQUICK月次調査(債券)が公表された。調査対象は債券市場関係者180名。回答を得たのはこのうちの114名となっていた。今回は注目された日銀総裁・副総裁人事に絡んで、日本の金融政策などに対するアンケートがあった。

 次期日銀総裁に植田氏が就任した場合、金融政策運営に対する期待度はという問いに対して、大いに期待するが11%、期待できるが61%となり、両者で7割を占めていた。ただし、「まだわからない」との回答が23%あり、「期待できない」との回答はわずか5%となっていた。

 衆院と参院での植田氏の所信聴取を聞く限り、黒田総裁の政策を踏襲するかのような発言となっており、これを聞く限り、果たして期待できるかどうかは疑問に感じる。しかし、こればかりは就任後の新総裁の言動を確認する必要もある。

 今回政府が提案している日銀の正副総裁3人の組み合わせについて、「大いに評価できる」が19%、「評価できる」が66%と両者で85%を占める。「まだわからない」が11%、「評価できない」はわずか4%しかいなかった。

 もし私が同様の質問を受けた場合には「評価できない」と答えていたと思う。特に植田氏と内田氏の組み合わせに対して、ややリスクを感じている。ゼロ金利解除に反対した植田氏の印象、さらに債券市場の機能などおかまいなしの政策を次々と打ち出したとみられる内田氏の工夫に対しては、個人的にかなりの違和感を抱いていたためである。

 次に金融政策を修正する時期はいつだと思いますかとの問いには、2023年4~6月が56%と最も多く、次に金融政策が修正される場合、どのような動きがあると思いますかとの問いには長期金利ターゲットの撤廃がやはり56%と最も多かった。

 4月の会合での動きはあると予想しているが、植田氏と内田氏の組み合わせからみて、一気に撤廃はしてこない可能性があると個人的にはみている。希望とすれば4月まで待たず、いますぐにでもYCCは解除してほしいと願っているが。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

牛さん熊さんの本日の債券

税込1,100円/月初月無料投稿頻度:月20回程度(不定期)

「牛さん熊さんの本日の債券」では毎営業日の朝と引け後に、当日の債券市場を中心とした金融市場の動きを牛さんと熊さんの会話形式にてお伝えします。昼には金融に絡んだコラムも配信します。国債を中心とした債券のこと、日銀の動きなど、市場関係者のみならず、個人投資家の方、金融に関心ある一般の方からも、さらっと読めてしっかりわかるとの評判をいただいております。

※すでに購入済みの方はログインしてください。

※ご購入や初月無料の適用には条件がございます。購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。

久保田博幸の最近の記事