滋賀県甲賀市の高級ブランドほうじ茶「土山一晩ほうじ」は微発酵が特徴。鮮烈な香りを楽しめた!
滋賀県甲賀市と聞くと、思い浮かべるのは「忍者」や「信楽焼」ではないでしょうか。実は滋賀県産茶葉の約9割を生産している「お茶の名産地」でもあります。
その茶葉を街おこしの切り札として、独自の「ほうじ茶」の開発に取り組んだのが4年前。滋賀県茶業会議所、茶匠、土山地区の農家、滋賀県、甲賀市役所、JAこうからがタッグを組み、ふだんはライバル関係にあった茶農家もワンチームとなって挑んだとのこと。完成したブランド名は「土山一晩ほうじ」。甲賀市役所で行われたお披露目会で、さっそく試飲してきました。
ほうじ茶ではめずらしく、茶葉を一晩寝かせてから焙煎
「土山一晩ほうじ」は、甲賀市の土山地区で採れた茶葉を一晩寝かせてつくった、滋賀県甲賀市による独自の認証ほうじ茶です。3つの規格に準じたものが産地のプロジェクトブランド「土山一晩ほうじ」と名乗ることができます。
- 土山産の茶葉を使うこと
- 12時間以上萎凋(いちょう)させた香り高い茶葉を使うこと
- 滋賀県茶商業共同組合会員および土山の生産者が焙煎したほうじ茶
以上の決まりがあります。
1つめの「土山産」に限定する理由は、山間部に位置することから昼夜の寒暖差が激しく、茶葉の栽培に適しているから。味わいの深い、ほうじ茶に適した茶葉を生産できるそうです。
興味深いのは2つめです。萎凋(いちょう)は、摘み取った風通しのよい場所などに保管し、葉を萎れさせて微発酵をうながします。湿度や気温を見極め、一定時間ごとに攪拌させることで、均等に発酵をうながす工程となります。
この萎凋という工程は、一般的なほうじ茶では通常行われません。ウーロン茶などで行われるので、ほうじ茶ではめずらしい工程と言えます。
なお、各農家に同じ企画を共有した上で、萎凋や焙煎を行い製造するため、各社ごとに異なる味わいになるとのことで、特徴的なお茶を試飲することができました。
華やかで鮮やかな風味!台湾茶が思い起こされる
試飲したのは4種類。フラッグシップ製品のJAこうか「土山一晩ほうじ」、マルヨシ近江茶「土山一晩ほうじ」、グリーンティ土山「木蘭」、立岡製茶「紅ほうじ」です。
フラッグシップ製品のJAこうか「土山一晩ほうじ」(一番左)からいただきました。味が濃い! ほうじ茶の味ですが、台湾茶にも香りの強さが似ています。個人的には台湾茶が好きで何度も台湾に行って飲んでいるので、なつかしさを感じました。鮮烈な味と香りを楽しむことができます。
マルヨシ近江茶「土山一晩ほうじ」(左から二番目)は水出しでした。萎凋度合いの違う2種の茶葉と、2種の焙煎を施しており、軽やか。水出しでも香りが立つほうじ茶です。
「木蘭」(右から二番目)は、一煎目は70のお湯で香りを、二煎目は熱湯で旨味と渋みを味わうほうじ茶とのこと。少し煎茶に近いのですが、煎茶のような渋みはありません。まろやかで飲みやすい、グリーンティに近い味でした。
立岡製茶「紅ほうじ」(一番右)は、三つの異なる萎凋を施し、完全発酵させた茶葉を焙煎した、深みのある香りと味を追求したほうじ茶。風味は紅茶に似ていて、洋菓子に合いそう。ダージリンティのような香りの後、うっすらとほうじ茶の香ばしさが広がる不思議な味でした。
同じ「土山一晩ほうじ」ブランドでも、風味はすべて異なるので驚きました。どれもえぐみは抑えられていますが、一般的なほうじ茶よりもかなりコクがあります。ほうじ茶好きな方は、ぜひお試しを。ほうじ茶にしては価格が高めで驚きましたが、高級ほうじ茶と謳っている通り、本当に香りが贅沢ですごいですよ!
登壇されたのは左から岩永峯一さん(一般社団法人 滋賀県茶葉会議所会頭理事)、西澤明洋さん(ブランディングデザイナー、株式会社エイトブランディングデザイン代表)、岩永裕喜さん(甲賀市長)、竹田知裕さん(茶生産者、農事組合法人グリーンティ土山)、吉永健治さん(マルヨシ近江茶代表 茶師十段)
購入できる場所は地元JAの直売所やオンラインショップ。18種類もの茶葉やほうじ茶を使った洋菓子などが販売されているそうです。
なお、ほうじ茶は基本的に熱湯でいれるものが多いのですが、一部ではパッケージを見たところ70~80度となっていました。こういったお茶を日常的に楽しみたいのであれば、温度調整できる電気ケトルがおすすめです。お茶のポテンシャルを活かした、最高の味を楽しめますよ。
【関連サイト】
土山一晩ほうじ