日本国債の基準値が決定される仕組み
国債を売買するにあたっての基準値は日本証券業協会が発表しているもの以外に、日本相互証券が発表しているものがある。また、プライマリー・ディーラーなどはそれぞれ独自の基準値を出している。
そもそもこういった基準値はどのように決定されているのであろうか。債券の売買は店頭取引(つまり相対)で行われている以上、個々の売買がどのレートで行われているのかはわからない(当然、守秘義務も発生する)。
このため日本証券業協会や日本相互証券は業者(主に証券会社)に聞き取り調査をすることで、その基準値(気配)を掴んでいる。それは主に15時現在の国債の利回りや価格となる。日本相互証券などが発表している気配表に基づいて、国債のポジションを抱えている金融機関は保有評価額を算出することになる。
それでは業者はどのようにその日のトレード(売買)の際のレートを決定しているのであろうか。まず参考にするのは、前営業日の基準値となる。前営業日から当日の朝にかけて、海外市場動向などを元におおよその相場の居所を探る。そして、債券先物の寄り付きの位置などを見て、ある程度の相場の強弱を探るとともに、当日の財務省による国債入札や日銀による国債買入といったものも考慮し、投資家の需要などを元にしてイールドカーブの状況を推測する。それに基づいて、前日の基準値からどの程度利回りが乖離しているのかを探ることとなる。
その上で、ディーラーなりの相場観に基づいて投資家との売買を行う。そして、投資家の売買により生じたポジションの調整などのため、日本相互証券などで売り買いを行う。もちろん日本相互証券での売買はディーラーの相場観による単純売買も行われている。この日本相互証券の端末は多くの証券会社や銀行にあり、そこで出合った利回りは外部から見ることができ、今度はそれが参考データとなる。
日本相互証券ではカレント物と呼ばれる直近入札された2年、5年、10年、20年、30年債の売買が頻繁に行われることで、今度はその水準も参考にして、投資家との売買を行うことになるのである。
また債券相場のおおよその流れは債券先物が参考になる。現物債に比べて常に価格が変動しており、その動向をチェックすることにより、相場の流れを掴み、現物債の売買の参考にされるのである。