三溪園の重要文化財「臨春閣」が9月17日より期間限定特別公開【横浜市】
横浜市中区の日本庭園「三溪園」で9月17日(土)~25日(日)の9日間、重要文化財「臨春閣(りんしゅんかく)」の内部が特別公開されます。
文化財を今後も守り伝えるため、2018年より檜皮葺屋根(ひわだぶきやね)と杮葺屋根(こけらぶきやね)の補修と、耐震診断・耐震補強など5年にわたる保存修理工事が行われました。
三溪園完成100周年を記念し、非公開の「臨春閣」が特別公開されるにあたり、内覧会に行ってきました。
重要文化財「臨春閣」の特別公開
「臨春閣」は三溪園内苑の中心となる建物で、江戸時代に紀州徳川家の別荘として建てられたとされています。
その後、三溪園の創設者・原三溪氏によって横浜に移設され、大切に守り継がれてきました。
重要文化財を保存修理、耐震補強するにあたり、見た目を大きく変えることなく修理されています。
繊細な装飾が施された欄間にも注目
臨春閣は、どの部屋の欄間も、凝った装飾がされているので注目です。
菊や桐模様の欄間のほかに、こんな欄間も。
赤い欄干に、実際の楽器がついています。
雅楽で使われる笙(しょう)や、篳篥(ひちりき)などは、取り外しもできます。
障子の繊細なデザイン
一部屋で4つのデザインがほどこされた障子。波打つようなデザインは、曲げ加工ではなく曲線にカットされたもの。
建物の外回りに見られる被災の跡
戦時色が強くなり始めた頃、建物本体は動かせなかったものの、茶室や美術工芸品などは分解して別の場所に保管されたのだそう。そのため、建物の外側には傷跡が残っているところも。
どこに保管されたのかは当時の資料が残っておらず、いまだにわかっていないことも多いのだそうです。
戦前の玄関棟の床面遺構
今回の耐震補強工事で玄関棟内部を掘削したところ、戦争で失われたとされていた戦前の玄関棟の床面遺構が発見されました。
誰でも見られるように展示されています。
原未織学芸員はこのようにコメントしています。
重要文化財「臨春閣」の内部が特別公開されるのは、9月17日(土)~25日(日)の9日間。
貴重なこの機会に、ぜひお出かけください。
重要文化財「臨春閣」特別公開
公開期間:2022年9月17日(土)~25日(日)
見学時間:10:00~16:30(予約不要・最終入場16:00) ※9月17日(土)のみ13:00~
住所:神奈川県横浜市中区本牧三之谷58-1 三溪園内苑 臨春閣
電話番号:045-621-0634・0635(公益財団法人三溪園保勝会)
三溪園入園料のみで見学可能(大人800円、小中学生200円、横浜市内在住65歳以上200円)
公式サイト:重要文化財「臨春閣」特別公開|三溪園(外部リンク)
※参考:重要文化財建造物保存修理事業記念企画展『臨春閣―建築の美と保存の技―』、三溪園記者発表資料
「臨春閣」の理解がより深まる催し2つ(収蔵品展、写真展)もご紹介します。
所蔵品展「あらためまして、臨春閣です」
臨春閣により親しみを感じてもらい理解がしやすいように、所蔵品展では「臨春閣」を擬人化。所蔵品展では「臨春閣」が、
と語りかけてきます。
原三溪さんが「臨春閣」を入手するまでの、気持ちの動きや交渉のやりとり。
日本文化や文化財に詳しくなくても、思わず興味をもってしまう展示がされています。
所蔵品展「あらためまして、臨春閣です」
会期:2022年8月26日(金)~10月4日(火)
会場:三溪記念館 第1・第2展示室
観覧料:無料(三溪園入園料のみ)
田中克昌写真展「あとさき―臨春閣―」
写真展のほか、動画も公開。
三溪記念館 ロビーでは、臨春閣が修理される現場が記録された映像「重要文化財 臨春閣 令和の大修理を支えた伝統技術と工法」を見ることができます。
田中克昌写真展「あとさき―臨春閣―」
会期:2022年 9月8日(木)~10月23日(日)
会場:三溪記念館 第3展示室(写真展)/ロビー(映像放映)
観覧料:無料(三溪園入園料のみ)