100年以上にわたる初婚年齢の推移をさぐる
・戦前の初婚年齢は男性で27歳前後、女性は23歳前後で、戦争が近づくに連れて上昇。
・戦争終結直後は男女ともに大きく下がる。男性が26歳前後、女性が23歳前後に。
・戦後は少しずつ初婚年齢は上昇。ベビーブームなどで一時的に下がる機会もあったが、現在は未踏の高年齢時代。
人口の漸減状況や結婚観の移り変わり、男女の世帯内での立ち位置の変容、子供数の変化に伴い、注目を集めている結婚に関わる実情の中でも、特に注目されているのが初婚年齢。その推移を厚生労働省の人口動態統計から確認する。
次に示すのは取得可能な最古の値である1908年から直近の2016年に至るまでの、平均初婚年齢。併せて戦前と戦後それぞれに限定したグラフも作成する。
戦中から戦後の一時期は資料不足で欠けているのが残念だが、この空白期間においては、戦中は戦地におもむく人たちの「見合い婚」や「取り決め婚」(親同士の話し合いで結婚相手を決める婚姻)によって、戦後は平和を謳歌する人たちの解放感などで、平均初婚年齢は引き下げられたと推測できる。
戦前においては、1930年代前半まではほぼ横ばいで推移し、それ以降はじはじわと上昇。横ばいで推移している時期は、江戸時代までの慣習(適齢期になると自分の立ち位置に従った伝統などに基づき結婚することが常識とされていた)が残っていたからで、多くが「見合い婚」か「取り決め婚」。
そして経済・文化の発展や西洋化とともにこの慣習も薄れ、結果として初婚年齢も上昇を見せ始める。結婚関連の近代化が確認できるのは、1930年ぐらいからと見てもよいかもしれない。
戦後においては少しずつ晩婚化が進んでいる。第二次ベビーブーム期に多少の若返り現象が見られるが、その後再び晩婚化。男性に限れば前世紀末に第三次ベビーブーム的な動き(晩婚化の足踏み現象)が生じているが、21世紀に入ってからは再び急速に晩婚化が進んでいる。
日本の平均初婚年齢は現時点ではすでに女性だけで無く男性においても、少なくとも記録に残っている限りでは、未踏の領域に突入している。果たしてどのような社会構造の変化が生じるのか。想像することは難しい。少なくとも女性の高齢出産傾向が進むことは容易に想像でき、事実その傾向が確認できるのだが…。
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(注)本文中の各グラフは特記事項の無い限り、記述されている資料を基に筆者が作成したものです。