主要インフラのひとつ、日銀ネットで一部不具合が発生
日銀は14日、金融機関の決済などに利用されるシステムの一部機能に不具合が発生し、取引に遅れが出ていると明らかにした。
問題が発生したのは日銀と金融機関をつなぐ「日銀ネット」と呼ばれるシステムの一部。原因は不明で、日銀が復旧を進め、当日中に復旧した模様。
日銀は今回の原因は、日銀ネットを構成する一部機器の不具合によるものであることが判明し、当該機器を交換。その結果、上記の不具合は解消したとしている。
「日銀ネット」は日本における主要インフラのひとつでもある。あらためて「日銀ネット」について解説したい。
経済取引には常にお金の受払いや、証券などの受渡しなどが絡んくる。これは「決済」と呼ばれ、決済の際に受払いされる現金や預金などは「決済手段」と呼ばれる。日銀は、この決済システムでも大きな役割を担っている。
決済手段には通常、現金や金融機関の預金などが使われる。このため日銀にある金融機関の当座預金口座が決済手段として利用されている。日銀は国債取引に伴う受渡しを帳簿上の口座振替などによって処理するといったように、国債の決済業務も行っている。
金融機関同士が行う資金取引の決済や国債など証券取引の代金の決済や、民間決済システムの最終的な決済に日銀の当座預金での振替が利用されている。日銀が金融機関との間で行っているオペレーションや貸出し、国庫金の受払い、国債の発行・償還に伴う資金の受払いなどについても、日銀の当座預金を介して決済が行われている。
日銀はこうした資金や国債の決済が安全かつ効率的に行われるようにするため、コンピュータ・ネットワークシステムを構築している。これが「日銀ネット」と呼ばれる「日本銀行金融ネットワークシステム」である。
日銀の本支店と参加金融機関は、日銀電算センターと通信回線で接続されており、全銀システム(全国銀行データ通信システム)や、手形交換制度、外国為替円決済制度などで決済処理された最終的な決済を行っている。証券決済システムとして国債の決済などもこれを通じて行っている。
日銀ネットは、日銀と金融機関との間の資金決済をオンラインで処理するネットワークシステムで、日本の金融取引における重要なライフラインともなっている。このため、大阪に電算センターのバックアップ機能を備えるなどかなり高度なセキュリティ対策も講じられているのである。