オランダ、空港に「世界中の人と話せるシート」:リアルタイムにどの言語でも会話を楽しめる
同時通訳で、世界中の誰とでも話せるシート
オランダのKLMオランダ航空はアムステルダムのスキポール空港に、どこの国の人でも誰もが異なる言語でも会話ができるシート「KLM’s Connecting Seats」を2017年12月末に設置した。
下記にその動画も紹介されている。向かい合ったシートで、異なる国の人たちが、それぞれの母国語でマイクに向かって話しかけている。相手には、その言語が自分の国の言語に同時通訳されてスピーカーから伝えられる。つまり、相手の国の言葉がわからなくとも、リアルタイムに会話を楽しむことができる。
「空港にいる人たちで一緒にクリスマスを楽しもう」
同時通訳はGoogle CloudのSpeech API、Translation API、Web Speech APIをベースに開発されており、乗客がシートに座ると自動で作動する。KLMオランダ航空によると、空港は独りぼっちになってしまう寂しい場所だから、そこに集まっている旅行客同士で楽しい時間を共有して欲しいとのこと。「空港にいる人たちで一緒にクリスマスを楽しもう」というのがKLMオランダ航空の意図。
同社のマーケティングコミュニケーション担当のNatascha van Roode氏は「我々は今までも、世界中の多くの人々を繋げてきたし、世界中のお客様に思い出に残る体験をしてもらいたい」と述べている。また同社のMarit Badia氏は「多くの人がお互いにそれぞれの言語で会話をしてもらうことが目的だった。いい意味で驚いている」とコメント。
スマホの普及で世界中の音声データや会話、発音を収集できるようになって、翻訳技術は著しく進歩した。またハードウェアやコンピューティング技術の進歩でリアルタイムに外国語に変換してレスポンスできるようにもなった。さらにこれからも翻訳の精度を上げていき、同じ国の人同士でしか理解できないような、機微な感情も翻訳して外国人に伝えられるようになるだろう。それらの技術の集積が、今回このようなプロダクトとして登場してきた。
かつてのように「相手の国の言葉がわからないので話せない」「英語ができないから外国人とのコミュニケーションができない」という時代ではなくなってきている。