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台風「通過後」の注意点

中澤幸介危機管理とBCPの専門メディア リスク対策.com編集長
(写真:ロイター/アフロ)

過去最強クラスとなる台風19号が夜のうちに関東地方を通過した。今朝は東北沖を北上し、この後、温帯低気圧に変わる見通しだ。すでに自宅や周辺地域がすでに大きく被災してしまっている方は、少しでも高く、安全な場所で助けを待ってほしい。無理に家から出て水の中を歩くのは危険だ。現在、救助活動が進んでいる。SNSで助けを求めるとともに、窓からシーツ、ライト、笛などを使って自分の場所を知らせることが大切だ。お年寄りや子供がいたら、体温を下げないように注意する。もし子供が夏場に使う浮き具などがあれば、家から脱出せざるを得なくなった時に備え空気を入れて近くに用意しておく。

一方、台風一過の青空が広がる地域では、慣れない避難所で夜を過ごされた方は、一刻も早く自宅に帰り、日常の生活を取り戻したいことだろう。しかし、台風が通過した後でも、引き続き大雨や竜巻・突風、河川の氾濫・決壊などが発生する恐れがある。油断せず、避難所から家に帰る前、あるいは日常の生活に戻る前に再度、危険が無いかを確認してほしい。

河川の氾濫・決壊、土砂災害などに注意

特に注意が必要なのは河川の氾濫や決壊、土砂災害だ。雨が止んでも、上流域で雨が降っていれば河川水位が増えて氾濫・決壊を引き起こす危険性はある。すでに氾濫している河川では雨量に関係なく堤防などの決壊が起きやすい状態になっている。2015年9月の鬼怒川決壊も小降りになってから発生した。地盤が緩んでいるため土砂災害も起きやすい。

台風通過後に数時間してから再び大雨が降り土砂災害や洪水被害をもたらした例は数多くある。大気の状態が不安定になるため、気象庁のHPなどで雨雲の動きや降水予報を見てから行動することが大切だ。大気の乱れにより、突風や竜巻が起きる可能性もある。

二次災害に巻き込まれないようにする

過去に何度も書いていることだが、緊急事態の対応は、「命を守る→二次災害に巻き込まれないようにする→生活・財産の保護」の順番で行うことが大切だ。台風が通過した今、最も重視すべきは、二次災害に巻き込まれないようにすること。例えば、家に戻る途中で河川が決壊する、再び大雨が降り出す、突然の突風が起きる、ことなどを想定して、十分気を付けて行動することが大切だ。

また、台風により、地域の中では、電線が切れている、電柱が傾いている、飛散したガラスが散乱している、看板が落ちてきそうな状態になっている、下水の蓋が外れている、道路の路肩が崩れそうになっている、ブロック塀が倒れそうになっているなど、危険個所が多くなっている。できれば明るい時間帯に、周辺に十分気を付けて行動をしてほしい。焦りは禁物だ。

自宅に戻ってやるべきこと

家屋が浸水し、避難生活を余儀なくされる方にとっては、今後、自宅をどう復旧すればいいのか、さぞかし心配なことだろう。

災害後にやるべきことは長岡技術科学大学大学院准教授の木村悟隆氏がリスク対策.comに詳しく書いているので参考にしてほしい。あわてないこと、危険なものにさわらないこと、被災した家の写真を四方向から撮っておくこと、などはすぐにも役立つ。

水害にあったら何をすべきか?

アメリカで1992年に赤十字とFEMA(米国連邦緊急事態管理庁)によってまとめられた小冊子「Repairing Your Flooded Home」(洪水被害にあった住居の修理)も参考になる。

浸水被害にあったら 修復までにすべきこと

家や車の修理を急ぎたい気持ちは分かるが、まずは自分や家族の心を修復することを優先してほしい。自分で気付いていなくてもかなりのストレスや疲労が蓄積しているはずだ。しっかり休み、よく食べ、そして、家族との会話をしながら、自分を含め家族の中にストレスのサインが現れていないか観察してみることが大切だ。

危機管理とBCPの専門メディア リスク対策.com編集長

平成19年に危機管理とBCPの専門誌リスク対策.comを創刊。国内外500を超えるBCPの事例を取材。内閣府プロジェクト平成25年度事業継続マネジメントを通じた企業防災力の向上に関する調査・検討業務アドバイザー、平成26年度~28年度地区防災計画アドバイザー、平成29年熊本地震への対応に係る検証アドバイザー。著書に「被災しても成長できる危機管理攻めの5アプローチ」「LIFE~命を守る教科書」等がある。

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