Yahoo!ニュース

平均24.5分…新聞を読んでいる人の閲読時間はどれぐらいなのだろうか(2022年度版)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
朝の新聞を読むひととき。その時間の長さは!?(写真:アフロ)

新聞を読む人に限れば閲読時間は平均約25分

新聞を読む人は次第に減少傾向にあるという。それでは新聞を今なお読んでいる人の、閲読時間はどれほどなのだろうか。新聞通信調査会が2022年11月に発表した「メディアに関する世論調査」(※)の結果から確認する。

今調査対象母集団では新聞の毎日閲読率は4割ほど、頻度は問わずにとにかく読んでいる人は6割近くとなる(購読ではなく閲読なので、回答者自身が新聞を購入していなくとも読んでいれば該当することに注意)。このうちとにかく読んでいる人に対し、その新聞の1日あたりの閲読時間を尋ね、その平均値を算出した結果が次のグラフ。

↑ 新聞の一日の平均閲読時間(新聞を読む人限定、属性別、分)
↑ 新聞の一日の平均閲読時間(新聞を読む人限定、属性別、分)

直近年度の平均は24.5分。男女別では男性の方が長く、年齢階層別ではおおよそ年を取るに連れて長くなる傾向がある。

過去調査分からの変化を見ると、1年では大きな変化は起きていないようだが、中期的には30代までで増加、40代以降は減少していたように見える。もっとも30代までは新聞を読む人自身が大きく減っていることから、熟読する人のみが閲読者として残り、結果として平均値が上昇している(より厳選されていると表現すべきか)のかもしれない。

一方で2018年度以降に限れば、属性を問わずに減少しているように見える(直近年度では全体、そして一部属性にて前年度比で増加しているが)。もっともこれは設問の様式が変化したのが影響している可能性はある。2021年度や2022年度で複数の属性において前年度比で増加した動きを示したのは、新型コロナウイルスの流行で在宅時間が延び、読む機会が増えたからかもしれない。

13年間に閲読時間はこれだけ減った

今調査では毎年ほぼ同じ条件で今項目に関する問いも実施している。単純比較できる最古のデータが2009年度分なので、それと比較した上で13年間の動きを見ていくことにする。

次に示すのは平均閲読時間の変化。全属性でマイナス、すなわち平均閲読時間が減少している。

↑ 新聞の一日の平均閲読時間(2009年度→2022年度、新聞を読む人限定、属性別、分)
↑ 新聞の一日の平均閲読時間(2009年度→2022年度、新聞を読む人限定、属性別、分)

元々閲読時間が長いこともあり、おおよそ年上ほど減る分数も大きくなる。また、男女別では大きな差異が無いことから単純に年齢階層別での変化が生じていると見てよいだろう。ただし70歳以上は別で、あまり減っていないのは注目に値すべき動きではある。じっくり読んでいるのか、読むのに時間がかかるのか。

新聞を読む理由は人それぞれで、その理由を充足するのに必要な時間も人それぞれ。株式市況面の注目銘柄を読むだけなら10分もかからないし、地元面をじっくりと読み通すのなら数十分、社会面や政治面、経済面まで含めて読み通し、世の中のあれこれを把握するのなら一時間でも終わるまい。

その閲読時間がおおよそ減っている現状からは、新聞で必要とされている情報が減少している実情が推測される。情報の流れ方そのものが加速化しているのも理由として挙げられるが、情報取得ツールとしての新聞の立ち位置が、相対的に少しずつ変化している現状もまた、閲読時間の変化に影響を与えているのかもしれない。

■関連記事:

【5年の間にこれだけ変わる…テレビ視聴と新聞購読時間の変移をグラフ化してみる(2011年版情報通信白書より)】

【新聞読まない約5割、テレビは2時間以上視聴が2割近く…高校生のメディア接触時間を探る】

※メディアに関する世論調査

直近分となる第15回は2022年8月26日から9月13日にかけて住民基本台帳からの層化二段無作為抽出法によって抽出された18歳以上の男女個人5000人に対して、専門調査員による訪問留置法によって行われたもので、有効回答数は2993人。有効回答者の属性は男性1399人・女性1594人、18~19歳55人・20代246人・30代386人・40代520人・50代500人・60代495人・70代以上791人。過去の調査もほぼ同じ条件で行われている。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

不破雷蔵の最近の記事