【高野町(高野山エリア)】クリスマスなのでクジラの油をキャンドルライトの代わりに灯してみた
クリスマスを盛り上げてくれる明かりといえばキャンドルライトやキャンドル風ライトがあると思いますが、もっとSDGsな明かりがないのか考えてみました。
今は冬、冬といえばおでん、おでんといえば関西では欠かせない食材「コロ」。コロは、クジラの皮の下の脂肪の分厚い部分から油を抜いて乾燥させたものです。ということは冬の時期は抜いた油(鯨油)が大量に出ているのですが、どうやら活用先があまり無いようです。
クジラは和歌山県の大事な産業にも関わっているので、一県民としても興味があり、調達して実験することにしました。
和歌山県の太地町は日本における古式捕鯨発祥の地と言われており、古くから鯨類を利用してきました。2019年7月からは商業捕鯨が再開され、ミンククジラやツチクジラ等を日本の太平洋沿岸で漁獲しています。
クジラは捨てるところがないと言われるほど利用する方法が多く、様々な利用がされました。
鯨肉と軟骨等の食用以外に、ヒゲ・歯は将棋の駒や櫛などの細工、毛は網に、皮からは鯨油が灯火用燃料に、筋は弓弦などの武具に、鯨骨からは鯨油が、肝臓から採取される油脂や血は薬用に、糞は香料に用いられました。
1832年には鯨の約70もの部位について調理法を記した「鯨肉調味方」(鯨百珍)が出版されています。日本人にとってクジラは海の貴重なタンパク源として縄文時代から利用されてきました。皮、五臓六腑まで食べ物として利用する日本のクジラ料理は世界にも類を見ない素晴らしい食文化です。
特に鯨油は食用や灯油以外にも、江戸時代には田んぼの害虫除けとしてたくさんの人が使うようになりました。
※水田の害虫駆除用について
江戸時代に開発された技術で、水田に流して油膜をつくり、そこへウンカなどの害虫を叩き落として窒息させた。なお、鯨油以外にも魚油や植物油、後には石油も同様に使用されているが、江戸期の農書には鯨油が最上であると記されている(by wiki)
江戸時代には鯨油は灯火用に普及しており、魚油よりも匂いが少なく、植物油よりは安価なために主に庶民が利用していました。
では、灯火として使われなくなった現在、本物の鯨油で実験。
揺らいでいる炎は美しい。しばしぼーーっと眺める・・・。
確かにランプの真上では魚臭いというか、獣臭いというか、独特の匂いはしますが、ランプ程度の燃焼量では少し離れると臭くは無いです。
ぜんぜん使えます!
時間もたっぷり、少量で2時間くらいは燃焼していました。
これはこれで面白い埋もれた素材、サステナブルな素材かもしれません。
なお、今回のこの実験には、太地町のクジラ専門店『重大屋』さんの若き社長から鯨油を提供いただきました。
→こんな社長。youtube動画
クジラ肉が「臭い」「堅い」は昔の話。今は技術も進んでいて、美味しい鯨肉定番詰め合わせセットなどをネットで販売されています。