【京都市上京区】平安時代から続くアンチエージング? 区役所ロビーで無病息災、延命長寿の伝統の節句展
「平安時代の昔から重陽の節句の前夜に菊の花を露よけの綿でおおい、翌日に露と菊の香りが染みこんだ綿で体を拭いて、邪気を払い、健康と長寿を願うという風習があったんですよ。紫式部や清少納言もしていたというアンチエージングですね」と満面の笑顔で語ってくださったのは、展示の菊の花を生けこんだ、いけばな嵯峨御流の石川利佳甫教授です。
京の暮らしの文化普及啓発実行委員会と上京ふれあいネット運営協議会が主催し、京都市の上京区役所で、9月6日(月)~10日(金)まで「重陽の節句」の展示会が開かれています。着せ綿された菊の花や、邪気除け延年効果があるという 茱萸袋(ぐみぶくろ)、有職京人形司 大橋弌峰の百歳雛(ももとせびな)などが展示されています。
重陽の節句とは、旧暦9月9日に行われた行事で、「菊の節句」とも「栗の節句」とも呼ばれます。五節句とは暦の内でも最も気候の変わり目が激しい節目を五つの節に区切ったもの。1月7日は人日の節句、3月3日が上巳の節句、5月5日は端午の節句、7月7日は七夕の節句、9月9日が重陽の節句となります。
石川教授によると、「周の帝への不敬罪で酈縣山(れつけんざん)に流された慈童が、仏の功徳をほめる詩を菊の葉に書き写すと、葉の露がしたたって不老不死の薬となり、700 歳となっても少年の姿を保っていたという、祇園祭の菊水鉾の稚児人形にもつながる故事などから、菊は延命長生の花とされてきました。」と言います。
他にも、「重陽の節句には、不老長寿を願う菊湯、菊に含まれるカンフェンなどによって、血行や新陳代謝が促進される。菊を詰めた枕で眠り、香りで邪気を祓い、美容や健康を願う。菊酒で長寿を祈ると良い。」などの風習があると言います。
展示をコーディネートした上京区のART GALLERY be-kyoto の岡元麻有館長は、「町家の風習を始めとする上京の文化や魅力を広めていこうとの活動の一環で、5節句の内、正月を除いて節目の節句に展示会を開催してきました。区役所の1Fロビーで開かれていますので、お近くにお越しの際にはお気軽にお立ち寄りください」と呼び掛けています。
おうちで、着せ綿を気分だけでも体験してもらおうと、重陽の節句で食されたという蒸し栗のオーナメントも配布されています。(数に限りがあります)
京都市上京区総合庁舎 京都市上京区堀出シ町283−1