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日銀は緩和縮小をした方が良いと考える人が半数。予想以上に関心が高い結果に。日銀の政策に間接的な影響も

久保田博幸金融アナリスト
(写真:つのだよしお/アフロ)

 日銀の大規模な金融緩和政策について「縮小した方が良い」と考える人が50%と、「続けた方が良い」と考える人の22%を大きく上回ったことが最新のJNNの世論調査で分かりました(9日付TBSテレビ)。

 これはJNN世論調査の結果であり、調査方法は固定・携帯電話による聞き取り(RDD方式)。全国18歳以上の男女2465人〔固定1044人,携帯1421人〕。有効回答1225人(49.7%)〔固定614人,携帯611人〕(58.8%)(43.0%)。

 私が大学時代、ゼミがマスコミ関係であったこともあり、一度、ゼミの先生を通じての依頼で、NHKの世論調査のアルバイトをしたことがあった。この際は直接、自宅に伺っての聞き取り調査であったが、協力してくれる人がこの結果同様に半数ぐらいであり、なかなか苦労した覚えがあった。

 そう言いながら、先日、家の電話に世論調査ですという電話が来たが、本当にマスメディアの方なのですかと執拗に問い合わせたら切られてしまった。本当だったかもしれないが、最近は詐欺電話の可能性もあり、さらにやりづらくなっているのではなかろうか。

 ということはさておき、この結果で注目したいのは、「縮小した方が良い」と考える人が50%と、「続けた方が良い」と考える人が22%もいたことにある。

 つまり77%の人が日銀の金融政策に関心を示していたということになる。たぶん残りの23%の人の回答が関心ないといったものであったと推測される。

 私はこのような記事を書かせていただいているが、どういう記事が多く読んでもらえるのかも当然ながら気にしている。そのなかにあって、日本銀行の金融政策については株や為替、国債などと比べて関心の度合いは高くないと感じていた。

 現在の日銀の金融政策はどうなっているのか、そもそも金融政策に興味関心はあるのか。金利は付かなくて当然と考えてしまっているのか。

 現在の日銀の金融政策に喧嘩を売っても、それに賛同してくれる人がいるのかと疑問を持っていた。

 しかし、予想以上に日銀の金融政策への関心の度合いは高く、しかも大規模な金融緩和政策について「縮小した方が良い」と考える人が半数もいるというのは心強い限りである。

 むろん、12月20日の日銀の政策調整がサプライズとなり、ドル円や株、債券などが大きく動いて、ニュースでも報じられたことで関心が高まったこともあったのかもしれない。

 ただし、12月20日以前の世論調査でも「縮小した方が良い」と考える人が過半数という結果が出ていたものもあった。このため、12月20日のサプライズ調整の有無にかかわらず、少なくとも半数の人が現在の日銀の政策に疑問を投げかけていることは確かなのかもしれない。

 これで日銀が動く、わけではないものの、こういった世論調査を気にする人達が永田町あたりにいることもたしかである。12月20日のサプライズにはそういった人による影響もあったのかもしれない。そうなれば、あれだけで終了というわけにはいくまいと思うのだが。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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