入院患者は対人口比率でも減少中…入院・外来率の推移
医療技術の進歩と共に、多様な病症への対処法が確立され、医療施設で受療可能となり、多くの人が病院へ足を運び、治療・入院するようになった。昨今の日本における対人口比の入院・外来受療率の推移を、厚生労働省が定点観測的に実施している「患者調査」の結果から確認していく。
同調査によると医療技術の進歩発展や公衆衛生の啓蒙、社会インフラの整備などを受け、入院患者総数は漸減。一方、高齢化に伴い通院(外来)患者数は高齢者の増加を原因とし、総数はほぼ横ばいに推移している。
入院・外来動向に関して総数ではなく、対人口比率で見ると外来率は横ばい・今世紀に入ってからは漸増、入院率はわずかながらも減少の動きを示している。
入院率は1990年をピークに、少しずつではあるが減少。医療技術の進歩に伴い、入院しなくても済む、入院が必要にしても日数が少なくて済むようになったのが主要因。他方、外来受療率は横ばいで、むしろ今世紀に入ってからは増加の動きすら示している。これは高い外来受療率を示す高齢者の総人口比が増加したからに他ならない(総数が増加しているのは上記グラフの通り)。また以前は入院が不可欠だった治療も、外来で済むようになった治療もいくばくかは影響している。
これを主要年齢階層別に仕切り分けしたのが次のグラフ。
実のところ高齢者の間でも、入院・外来受療「率」は漸減している。高齢層の外来者「数」が漸増しているのは、その階層の人数が増加しているからに他ならない。100人の1%は1人に過ぎなくとも、1万人の1%は100人にもなる。そしてその増加は昨今においては、総外来受療率をも底上げしつつある。
気になる動きとしては、14歳までの子供において、今世紀に入ってから外来受療率増加の動きが見えている点が挙げられる。これは多様な可能性が考えられるが、喘息やアレルギーのように経年変化で増加している病症の治療を受ける人が増えてきたこと、以前は病院に通うまでも無いとしていた病症に対しても保護者の意識変化により通院させるようになったことなどが考えられる。
無論入院率は14歳までの子供でも減退しているため、子供が脆弱化しているわけではないことは言うまでもあるまい。
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