新規国債発行額は112兆円台と過去最大規模に、それでも国債の市中での発行額が増えないのはどうしてか
15日に今年度第三次補正予算が閣議決定された。これにより今年度の国債発行計画も修正された。
第三次補正予算に関わる新規財源債(新規国債、赤字国債と建設国債)の発行額は、22兆3950億円も上積みされ、112兆5539億円と過去最大の発行規模となる。
建設国債は3兆8580億円増加の22兆5960億円、赤字国債(特例国債)は18兆5370億円増加の89兆9579億円、復興債は1417億円減額されて7824億円、財投債は13兆5000億円減額されて40兆7000億円、そして借換債は1兆474億円増額されて109兆292億円。
今年度の国債発行総額は263兆655億円となり当初予算と比較して109兆6034億円もの増加となった。当然ながら年度の国債発行総額としても過去最大となる。
国債発行額で実際に入札等で今年度発行される国債(市中発行分)の増額分は11兆4007億円となる。これが通常ならば各年限に分散されて増額されることが多いが、今回は違った。第二非競争入札での減額分の2兆3240億円を合わせ、13兆7247億円は「年度間調整分」ですべてカバーされることとなり、カレンダーベースでの市中発行分の第三次補正後の国債増発はゼロとなった。
「年度間調整分」とは前倒債の発行や出納整理期間発行を通じた、前年度及び後年度との調整分をいう。
大量の国債発行を円滑に行うために、借換債は年度を越えて前年度に前倒して発行ができる前倒し発行が可能となっている。この前倒し発行額については、毎年度の予算総則であらかじめ国会の議決をうけた限度額の範囲内で発行されている。
そして赤字国債の発行にあたっては、毎年度の税収の収納期限である翌年度の5月末までの税収実績等を勘案して特例国債の発行額を調整するために、特例国債の発行時期を翌年度の6月末までとするいわゆる出納整理期間発行の制度が設けられている。
前倒債は、たとえば予想以上に税収が上振れた際に当初の国債発行計画を修正することをしなければ、その分、国債発行が余剰となる。それを翌年度の前倒しというかたちでの発行とすれば、翌年度の余裕分となる。これは予定利率に国債利回りが届かなかった場合にも、その分、当初の発行計画では余剰の発行となり、その分の前倒し発行が可能となる。
その調整が前倒し発行と出納整理期間発行を通じて行われることで、それが10兆円以上、積み上がっていた。このため、カレンダーベースでの国債増発を抑えることも可能となるのである。
前倒債は年度間の国債発行の平準化を図ることができるとともに、今回のように補正予算の策定等に伴い資金需要の増加があった場合には、前倒債発行額を減額することで、その差額分を当該年度分の財源として調達することができる。
ちなみに第三次補正後の国債依存度は64.1%に上昇し、リーマン・ショック後の2009年度決算の51.5%を上回り過去最高を更新した。