子供が小さいうちは母親は育児に専念すべきか否か
家族観の一つに「子供が小さいうちは母親は育児に専念すべき」との考えがある。しかし社会環境の変化と共にこの考え方への受け止め方も変化を見せ、夫も積極的に育児に加わるべしとの話も見聞きする。それでは「妻は子供が幼いうちは仕事に従事せず、育児に専念した方が良い」との考えへの支持率はどれほどなのか。国立社会保障・人口問題研究所による5年おきの定点観測調査「全国家庭動向調査」をもとに確認していくことにする。
夫だけでは無く妻も就業する共働き世帯は増加しているが、妻が常勤の仕事をしていても、家事を多分に行っている状況も確認されている。
それでは妻の立場から(今件調査は女性が回答している)どれほどの人が「夫も家事や育児を平等に分担すべきだ」と考えているのだろうか。これについては直近では8割以上が賛成意見を述べている。つまり女性は大勢において「夫も家事・育児を平等に分担すべきである」との考えを持っている。
20年前の第1回調査では7割強だった賛成派が少しずつ増加し、直近の結果では8割を超えている。主婦の意識として「家事・育児平等分担論」はより強く浸透しつつあると考えて良い。
一方、幼子がいる世帯では母親は育児に専念すべき(&仕事は持つべきではない)とする意見は多少の波があるものの9割近い値を維持し、直近の2013年以外は、時代ごとの変移はほとんどない。
子供が3歳ぐらいになるまでは、それこそ24時間つきっきりで、睡眠時間ですら極力削る覚悟で面倒を見るほどの気合を入れる必要がある。しかし現実には厚生労働省の「国民生活基礎調査」の結果からも分かる通り、ゼロ歳児がいる世帯でも、1/3ほどは母親が仕事に勤めている。
この現状を受け、さらには二世代世帯の減少や保育施設の増加、兼業主婦の必要性の増加、夫の育児参加への動きなどもあり、直近の2013年では強い賛意の「まったく賛成」が大きく減り、弱い賛意「どちらかといえば賛成」がやや増えたものの賛同派はその値を減らし、その分弱い反対派「どちらかといえば反対」が大きく上昇している。過去調査分も合わせ、初めて反対派が2割を超えたのもの、子供の幼少時における育児に対する考え方に変化の兆しが見えてきたものといえる。
また、8割近くの賛成派の意見は「子供が3歳くらいに成長するまでは、妻が働きに出なくてもすむよう、夫の収入が安定して高いレベルのものであって欲しい」「収入を補助してくれるような制度の存在が望ましい」との主婦たちの想いとも受け止められる。一部企業や自治体で行われているような、高額の出産手当もその解決策の一つといえよう。
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