酷暑の日こそ入浴したい! ‶ぬる湯”の温泉地【中部・東海編】
7月に入ってから、各地で猛暑日が連続している。早くも夏バテになりかねない気候だが、そんな酷暑の日こそ「温泉」がおすすめだ。
温泉というと「熱い」というイメージかもしれないが、実はひんやりと涼しい温泉も存在する。40度以下の‶ぬる湯”である。
特に36度前後の体温に近い湯は、ひんやりとしてリフレッシュできるだけでなく、体の芯からじんわりと体を温め、血行もよくなるとされる。猛暑日を乗りきる体力を回復するという意味でも、効果が期待できる。
そこで、今回は中部・東海地方に絞って、ぬる湯の温泉を5カ所紹介したい。
飛騨小坂温泉郷・ひめしゃがの湯(岐阜県)
下呂市にある日帰り温泉施設「ひめしゃがの湯」は、全国的にも貴重な炭酸泉の名湯として知られる。内湯と露天に注がれる黄金色に輝く濁り湯は38度とぬるめの設定だが、体中にびっしりと炭酸ガスの気泡がくっつくほど。最初は冷たく感じるが、徐々に体の芯までポカポカと温まってくるのが炭酸泉の特徴だ。あまりに気持ちよいため、1時間は平気でつかっていられる。燃料費の高騰で一時休業していたが、現在は土日限定で営業を再開している。
榊原温泉(三重県)
津市の山中にある歴史ある温泉地。豊かな山の緑と田畑の長閑な風景に癒やされる。平安時代に著された『枕草子』の中にもその記述が見られるとか。現在では10軒弱の宿が軒を連ねる。老舗宿の「湯元榊原舘」は甘い硫黄の香りがする透明湯で、源泉かけ流し。なかでも源泉風呂には32度のぬる湯が100%かけ流しにされており、湯の個性が際立つ。加温湯と交互に浸かると至福の気持ちよさだ。
白骨温泉・泡の湯(長野県)
乳白色の濁り湯が美しい白骨温泉にある旅館。巨大な混浴露天風呂には、約37度の源泉がかけ流し。夏でもゆっくり入浴できる泉温である。四季折々の風景も美しい開放感に富んだ露天風呂で、夏は濃い緑の木々から生命力を感じられる。混浴だが、透明度の低い濁り湯なので比較的入浴のハードルは低いといえる。
湯屋温泉(岐阜県)
400年以上の歴史をもつ静かな温泉地。古くから湯治場として知られてきた湯で、炭酸含有量が多いのが特徴。胃腸に効果があるとされ、飲泉もできる。もともと源泉温度が15度前後のため、ぬる湯の状態で提供している宿もあり、たとえば旅館「泉岳館」では38度の湯船が用意されている。
下部温泉(山梨県)
山あいに佇む素朴な温泉地で、1200年の歴史をもつ古湯。ひっそりとしているが、どこか郷愁を誘われる温泉街は、どこか懐かしい。昔から湧く20~30度代のぬる湯が特徴で、温冷交互浴に励む湯治客も多い。源泉にこだわるなら足元湧出の古湯坊源泉館(宿泊のみ)がおすすめだが、他の旅館の多くで温冷交互浴を体験できる。