宅配便の再配達を避けるために利用者はどのような手段を用いているのか、その実情をさぐる
・宅配便の再配達を避けるための手段をいずれも用いたことが無い人は7割近く。年齢が上になるほど非利用の割合は高くなる。
・配達日時などの指定や変更を利用したことがある人は14.7%、自宅の宅配ボックスへの配達は7.4%。
・若年層ほど再配達回避の手段を利用する割合は高い。
宅配便の過負荷状態を引き起こす要因の一つに挙げられるのが再配達問題。それを避けるためにさまざまな手段が用意されているが、宅配便の利用者側はどれほどそれらの手段を使っているのだろうか。内閣府が発表した再配達問題に関する世論調査(※)の結果から確認する。
次に示すのは調査対象母集団において、宅配便の荷物を確実に受け取り再配達を避けるために用意されている手段を利用した経験の有無を尋ねた結果。いずれも利用したことが無い人は69.0%に達していた。
宅配便そのものを利用していない、受け取っていない人も含まれるが、そのような人は今調査対象母集団では過去1年間に限っても2.5%でしかなく、実質的にはほぼ無しと見てよいだろう。つまり宅配便で荷物を受け取った経験のある人の約7割は、確実に一度で受け取り再配達を避けられるさまざまな手段を利用したことがまったく無い。
具体的な利用手段別に見ると、ウェブなどで配達日時や受け取り場所の指定や変更ができサービスを使ったことがある人は14.7%、自宅では無くコンビニなどでの受け取りは11.6%、昨今注目を集めている自宅用宅配ボックスへの配達をしてもらった人は7.4%。利用できない業者や、設置できない世帯もあるとはいえ、案外利用している人は少ない。さらに駅やデパートなど公共の場に設置された宅配ロッカーに配達してもらった人は0.7%に留まっている。
これを各属性別に見たのが次以降のグラフ。まずは年齢階層別。
18~29歳では職場などでの受け取りが一部低い値が出ているが、これは職に就いていない人もいるため。それを除けば大よそ若年層ほど各手段の利用率は高く、年を経るほど低くなっていく。60代では76.8%、70歳以降は89.7%の人が、これらの手段を使ったことが無いとしている。もっとも60代以降は自宅にいる場合が多く、これらの手段を利用する必要性が無いのだろう。
続いて居住地の都市規模別。
大よそ人口密集地域ほど利用率は高く、地方に行くほど低くなる。配達日時や受け取り場所の変更は地域性は無いが、コンビニや宅配ロッカーは都市部の方が利用しやすい状況だと考えられる。もっとも人口密集地域ほど若年層が多いため、年齢階層別の傾向が深く影響している面もあるのだろう。
続いて就業上の地位別。
雇用者は大よそ利用率が高く、何らかの手段を使っている人は4割を超えている。他方、無職の人や自営業者、家族従事者は自分で受け取れる可能性が高いことから、利用率は低め。自営業者で配達日時などの指定・変更がやや高めに出ているのは、ウェブなどを活用している人が多いからだろうか。
最後は世帯構成別。
子供がいる共働き世帯でとりわけ利用率が高い。子供のみが自宅にいる状況での荷物受け取りはリスクがあるとの判断によるものかもしれない。逆に夫婦のみで片方、あるいは双方とも非就労の世帯ではほとんど利用されていない。これは一つに専業主婦ならば日中の多分を自宅で過ごし受け取りができること、あるいは高齢者夫婦で双方とも自宅にいる時間が長いことなどによるものだろう。
日中の在宅時間が長く容易に荷物を受け取れるのならば、荷物受け取りを確実にするために用意されている、今回挙げられた手段を用いる必要は無い。しかし多くの人はそのような環境下には無い。配達日時や受け取り場所の指定・変更そのものができない配達業者の利用、コンビニが近場に無い、宅配ロッカーは安全面で不安など、個々の事情もあり難しいところだが、使えるサービスは積極的に使いこなし、再配達をお願いしなくてもよいように荷物の受け取りをしてほしいものだ。
■関連記事:
※再配達問題に関する世論調査
2017年10月26日から11月5日にかけて全国18歳以上の日本国籍を有する者の中から層化2段無作為抽出法で選ばれた3000人に対して調査員による個別面接聴取方式で行われたもので、有効回答数は1803人。年齢階層区分は18~19歳39人・20代129人・30代200人・40代308人・50代249人・60代402人・70歳以上476人、男女区分は男性839人・女性964人。
(注)本文中の各グラフは特記事項の無い限り、記述されている資料を基に筆者が作成したものです。