金正恩が幼稚園でも「ちゃぶ台返し」の無茶ぶり…教諭は刑務所送りも
北朝鮮の国営メディアは今まで、各地の幼稚園で行われている英才教育について報じてきた。ここで、平壌の蒼光(チャングァン)幼稚園について報じた朝鮮中央通信の記事を紹介しよう。
【平壌9月3日発朝鮮中央通信】朝鮮で、就学前教育が先進的に発展している。蒼光幼稚園は、国の幼稚園教育部門で先んじている単位の一つである。
人民教員であるチョン・チャンスク園長によると、幼稚園では子どもの生まれつきの才能を把握し、素質によって教育することを原則としている。
幼稚園の教養員は、有能な大学卒業生である。その中には、全国的な授業コンテストで優勝した模範教養員もいる。
蒼光幼稚園で子どもらは、道徳教育と朝鮮の文字、知能、情緒など、多様な教育を受けている。(以下略)
だが、今後はこのような光景に変化が生じそうだ。金正恩総書記が全国の幼稚園に「朝鮮語勉強時間を短縮する」との方針を下したからだ。詳細を、咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。
指示が下されたのは先月中旬のこと。元々、幼稚園での学習時間は1日5時間で、朝鮮語の時間に加え、金日成主席、金正日総書記の幼年期について学ぶ時間、計算とそろばんの時間、歌とお遊戯の時間から構成されていたが、全体の学習時間を5時間から3時間に減らし、朝鮮語の時間を3時間から1時間に減らした。
金正恩氏の方針の核心は「幼稚園の教育課程では、自分の名前と1から30まで数えられる程度の教育だけを行え」というものだが、これでは今までの英才教育の全否定するものだ。祖父・金日成氏から父・金正日氏へと受け継がれた路線を拒否する、「ちゃぶ台返し」と言っても過言ではないだろう。
(参考記事:愛人女優を「ズタズタにして処刑」した父親への金正恩の反感)
教育の重要性を強調すると同時に、子ども愛をアピールすることで国民の指示を引き出そうというのが狙いと思われるが、金正恩氏の思惑通りにはいっていないようだ。
親からは「もはや子どもを多く産んで育てる時代ではない、1人を産んできちんと育て上げようというのが親心だ」「それなのに基本的教育の朝鮮語の時間を減らしすぎだ」との反発の声が上がっているという。
当局は、幼稚園が朝鮮語学習を過度に行っていないか検閲(監査)を実施し、放課後や帰宅後に朝鮮語の勉強を絶対に行わないように、学習帳は担任教師に保管させることにした。
検閲に来た幹部は、子どもの荷物検査を行い、もし学習帳が見つかれば、担任教師に労働鍛錬隊(懲役)1ヶ月以上の処罰を下すと脅迫するような布置(お触れ)まで下す有様だ。
幼児期から知識詰め込み式教育を行うことには弊害を指摘する声もあり、金正恩氏もそんな情報を得て方針を下したことが考えられるが、放課後に勉強したからと懲役刑とは明らかにやりすぎだろう。