【特集】品川サウナがオープン後にすぐに再リニューアル!?満足度を高める細やかなアップデートの全貌とは
各所にアクセス良好で駅の周りには大型商業施設や飲食店が多くある東京都品川区大井町。
大井町駅から少し歩いたところに「サウナ」という看板が見えてくる。その看板を掲げるのは6月にオープンしたばかりの男性専用サウナ施設「泊まれるサウナ屋さん 品川サウナ」(以下、品川サウナ)。
プレオープンを経て、6月24日にグランドオープンした品川サウナ。まだグランドオープンして1ヶ月も経っていないが7月16日よりクローズして8月3日までリニューアル工事を行っていた。
連日混雑するほどの大盛況のところ急遽発表されたリニューアル。
多くの人が急なリニューアルに驚いたはずだ。
今回急遽リニューアルに踏み切った経緯があった。
グランドオープン後すぐにリニューアルをした経緯
オープン後の品川サウナは評判は良かったものの、実際はオープンするまで苦労があった。
クラウドファンディングで当初告知していたオープン時期から工事が遅れた。
必要な建築資材が届かず、工事も難航していたのだ。
その結果、納得がいくところまで完成させるには時間が掛かってしまう、一方でお客様を待たせてしまっているという状況のバランスを考えながら、オープンできるところまでなんとかたどり着くことができ、6月下旬からオープンすることができた。
しかし、工事の遅れを取り返そうとバタバタとしたグランドオープンになってしまったことは否めず、懸念していた改善点や「もっとこうした方が良かったのでは?」という部分が実際にオープンすると出てきた。
「お客様からの良い口コミがたくさんある一方で、オープンした後のお客様から気になる点や改善点などのご指摘もいただきました。
改善点について私達が懸念していたところや私達自身が納得していなかった部分でもあったため、これは早めに回収する必要があると思い、リニューアルを決断しました」と品川サウナ支配人の櫻井さん(以下、櫻井さん)は悔しそうに語った。
1ヶ月も経たないうちに再リニューアルするのは少しでも早くお客様に満足してもらうための必要な改修工事だった。
リニューアル箇所は細かいところも含むと数十箇所に及んだ。
2階の浴室のリニューアルポイント
2階の浴室に入ると見慣れた光景がそこにはあった。
内装が大きく変わっていないように見えるが、変更点はこの浴室だけでも複数ある。
今回のリニューアルについて、品川サウナの運営を櫻井さんと一緒に行っているスタッフの玉置さんにもお話を伺うことができた。
ロッカー番号による物置きBOXの指定を廃止
浴室出入り口近くの壁にある物置きBOXはリニューアル前はロッカー番号が記載されていたが、全て偉人の名前に変更した。
また、入れ間違えなどが意外に多く、「他人の物が入っていて使えないこともある」とお客様からの声もあったため、指定制も廃止し好きなBOXを使えるようにした。
自由にBOXを使用できるので、利便性が上がっている。また、偉人の名前のほうが数字よりも記憶に残りやすい。
洗い場の排水の改善
リファのシャワーヘッドなど拘っている洗い場だが、1度にたくさんの人が利用すると排水がうまくいかずに詰まってしまうことがあり、水が溜まりやすい状況だった。
そのため、排水箇所を増やして大きくする工事をし、水が溜まらないように改善した。
溜まった水が気にならないように、代替措置として敷いていた、「すのこ板」もこの工事によって外すことができた。
床の傾斜を改善
水はけを良くするために、通常のお風呂さんと同じ位の傾斜だったところを特注で更に強くした。
水はけを良くし、水風呂の水が床に流れた時でも不快感を減らす目的だ。
照明の増設
「全体的に暗すぎる」という意見もあったため、少し明るさを出すために、照明も増やした。
また、より深い水風呂が際立つようにブルーのライトを天井に設置し、今までに無かった水面の反射が天井に映るようになって、メインの水風呂が映えるようになっている。
今回のメインの改修は水風呂
品川サウナには水深が異なる最深140cmの深い水風呂とシングルの水風呂がある。
今回はこの水風呂の改修がメインだった。
まずは水風呂の水が浴槽から溢れるようにした(以下、オーバーフロー)。
水の量を増やし水面を上昇させ、水風呂の縁を少し削った。
こうすることによって、人が入ることで水が溢れだすようになり、元々導入していた循環濾過に加えてオーバーフローで上と下両方同時に水風呂を綺麗にしていく仕組みを採用し、水風呂の水質向上を図った。
深い水風呂だけではなく、シングルの水風呂も同様に縁の一部を削り、水面を上昇させオーバーフローするようになっている。
こちらが以前のシングルの水風呂だ。
水面の高さが全然違うのが分かる。
水面が上昇してしっかり肩まで浸かりやすくなった。
次に、深い水風呂は場所によって深さが違うため、段差が大きかった部分を改善した。
水の中のため分かりづらいが、2段目を10cm調整し深さ90cm→100cmに変更、水風呂内の段差が軽減され上がり下りしやすくなっている。
深い水風呂の140cmの深さには拘りがあるんですと玉置さんは言う。
「男性の平均身長よりもちょっと低い人でも鼻と口が出る設計から140cmになっています。鼻と口まで水風呂に入ってしまうと、人間の防衛本能として早く出なきゃというのが無意識的に働いてしまいます。
そのため、心理的に焦ることなく安心した気持ちで水風呂に入れるように口や鼻が水面から出るように設計しています」
不感湯の水面を上昇させ、排水穴を設けた
寝ながら入ることができる約30度の不感湯も水風呂と同様にオーバーフローするように水面を上昇させ、排水穴を開けた。
この不感湯はバイブラがなく、背もたれがあるのでゆったり入ることができる。
深い水風呂やシングルの水風呂とセットで冷冷交代浴するのもおすすめだ。
浴室内の空気循環の改善
銭湯のように天井が高くないビルイン施設は空気が滞りがちになり、人が多いと酸素濃度が低くなり息がしづらくなってしまうこともある。
そのため、エアコンを追加で2箇所設置し、空気が循環するようにサーキュレーターを取り付けた。
「実はアウフグース後や人が多くなってムシムシしてきたらスタッフで脱衣場から扇風機で空気を送ったり、大きいうちわで空気を送っていました(笑)。少しでもお客様に快適に過ごしてもらいたいという思いから今回改善をしました。それだけ、浴室内の空気循環にはかなり拘っています」と玉置さんは言う。
KUUサウナ室のリニューアルポイント
KUUサウナ室は品川サウナのメインサウナだ。
SAWO社製のタワーストーブが贅沢に2台並び、ヴィヒタ水も常設されていて、セルフロウリュができる収容人数約25人の大箱のサウナだ。
このサウナ室は緻密な計算で造っていると玉置さんは言う。
「ストーブの高さと連動した席構造にしています。
天井の蒸気の流れ具合とか、1番上に座った時にもやっぱり天井からの距離とかも計算していて、熱を気持ち良い状態で受けられるような拘った造りになっています。空気も外気から取り入れてフレッシュエアーをサウナ室に入れるような設計をしていて、息がしやすくなっているのも特徴です!」
本場フィンランドサウナのような造りをしているこのサウナ室にもいくつか改善点があった。
床に板を敷く
KUUサウナ室の床に板を敷き、入口のところとの段差を無くした。
板を床に敷いた分、床の高さが上がっているので、2段目の座面に上がりやすくなっている。
サウナストーンの積み直し
SAWOの付属のサウナストーンだけではなく、大きいサイズのストーンのNARVI、瞬発力満点のMADSTONE、多孔質の富士山溶岩など複数のサウナストーンを積み直した。
サウナストーンも時間が経つと劣化していくので、定期的な積み直しが必要なのだ。
サウナストーブの左側に高めの柵を設置
座面側のサウナストーブの周りに追加で高めの柵を設置した。
座面からサウナストーブが近いため、現時点で問題ない部分でも、より安全にサウナに入ってもらうために気になった箇所は念入りにしっかり対策を行った。
反熱板の位置を変更
反熱板の位置を変更し、サウナストーンの当たる光の量を調整した。
これによって、ロウリュした時の蒸気の流れが視覚的にわかりやすく、凄くエモい感じになっている。
ロウリュした時はぜひ注目してみてほしい。
ZENサウナ室のリニューアルポイント
品川サウナのもう1つのサウナは畳を敷いた半個室がある瞑想サウナだ。
メインのサウナよりも温度はマイルドだが、HARVIAのLEGENDストーブを中央に置いていて、お茶をセルフロウリュをすることができる。
畳の半個室にはクナイプシャワーが備わっていて、サウナに入りながら冷水を浴びることができる珍しいサウナだ。
このZENサウナ室も瞑想サウナとしてより満足度を上げる改善点があった。
サウナストーンの積み直し
HARVIAの付属のサウナストーンだけではなく、NARVI、MADSTONE、多孔質の富士山溶岩などKUUサウナ室のストーブと同様にサウナストーンを積み直した。
こちらはかなりモリモリに積まれている。
サウナストーブの左側に高めの柵を設置
ストーブの左側の柵を高めに変更した。
座面との間が狭いので手すりがあることで、出やすくなった。
柵を高くすることで、安全性も増している。
ヒーリングミュージックが流れるようになった
ZENサウナ室は今まで無音であったが、ヒーリングミュージック(528周波数のヒーリングミュージック)を導入した。
「鐘を鳴らした後の余韻のような音」が抑えめに流れている。
ヒーリングミュージックによってより瞑想サウナらしさが出て、無音よりも癒されながらじっくり入ることができる。
クナイプシャワーの威力の調整
クナイプシャワーはボタンを押すとホースから冷水が出る。
しかし、放水威力が今までは強く、周りに水が飛び散ってしまっていた。
そこで、頭にゆっくり掛けることができてトロトロ感を味わえるように水の威力を調整した。
床をタイルに変更
クナイプシャワーと床のマットの相性があまり良くなく、マットが邪魔をして水はけが悪くなっていた。
そのため、マットを全て剥がしてタイルに変更して、排水をスムーズにさせた。
ライトアップを変更
赤いライトを設置して雰囲気も変えた。
ヒーリングミュージックと照明で瞑想サウナの雰囲気を変えている。
明るさについては今後も調整を行っていくようだ。
内気浴スペースに星空を投影
クラウドファンディング時から検討していた、星空の投影を始めた。
当初は暗闇の部屋にアディロンダックチェアなどととのい椅子を置いた池尻大橋にある銭湯「文化浴泉」のような内気浴スペースだった。
この空間の天井に星空が投影され、他のサウナ施設にはない独自の内気浴スペースになった。
しかもこの星空はただ画像を投影しているのではなく、プラネタリウムになっていて、星空が実際に動き、時には流れ星も見ることができる。
「出来上がった後、支配人の櫻井と一緒にここで星空を見ながら休憩したのですが、即落ちしました(笑)。ようやく本当の意味で完成しました!」と嬉しそうに玉置さんは教えてくれた。
品川サウナは2階が完全黙浴、3階の外気浴スペースは小声での会話OKになっているため、この内気浴スペースで静かに休憩することもできる。
階段部分のリニューアルポイントについて
足元の照明を増やした
3階へ向かう階段の足元にブルーのテープライトを付けていたが、より足元が見やすいように照明を追加した。
サウナの時はメガネを外す方もいるので、そういう方でも上り下りで不安にならないようにするために追加したのだ。
階段の手すりを延長
3階の階段の踊り場にデッドスペースがあった。
そこを塞ぐだけではなく、手すりを延長して付けて、階段の上り下りをしやすくした。
3階の外気浴スペースのリニューアルポイントについて
3階外気浴スペースは拘りに拘った贅沢な外気浴スペースで、品川サウナで特におすすめポイントはこの外気浴スペースだ。
「品川サウナの外気浴スペースの露天風呂は気温によって、温度に変化を付けていて拘っています。信楽焼きの美泡壺湯もありますし、インフィニティチェアやアディロンダックチェアなどの様々な椅子、畳の寝転びスペースまであるので、自分の好みで色んなととのえ方ができて、色んな楽しみ方ができるのもこの品川サウナのイチオシポイントです!」と櫻井さんが熱く語ってくれた。
そんな完成度の高かった3階の外気浴スペースには大きな改善点があった。
人工芝を全て撤去
3階は大きく変更点があり、デッキの上に敷いていた人工芝を全部剥がした。
「お客様からご指摘等は全くなかったですし、われわれスタッフも気に入ってはいたのですが、衛生面が気になり剥がしました。
人工芝を敷いているとそれを毎日剥がしてデッキブラシで擦ったりというのができないですし、時間の経過とともに水はけの部分でも気になってしまって…賛否両論はあると思いますが、思い切って全て剥がしました。
やはり、お客様には衛生面で不快に思ってほしくないということもあり、お風呂屋さんとして清潔であって気持ち良く利用してもらうことが大切なため、この形にすることを決断しました」
と悩みながら決断したことを玉置さんが教えてくれた。
露天風呂に排水穴を設けて、水面を上昇させた
露天風呂もオーバーフローするようにするため、水面を上昇させた。またそれに伴って浴槽の木の部分に排水穴を設けている。
品川サウナでは水風呂と露天風呂全てがオーバーフロー仕様になった。
露天風呂内にステップを設けた
水面の上昇に伴い傾斜に身体を預けると顔が水に埋まってしまうため、露天風呂内にステップを設けた。
傾斜のある露天風呂は寝ながら入ることができ、ステップに足を掛けるとちょうど顔が出る良い高さになるように調整をした。
「中央の割石など拘って作ったこの露天風呂に何度も何度も入って模索する中でステップを設置しました。
ステップに足を掛ければ顔が水面から出るちょうど良い高さになりますし、足を外せば耳位まで沈んで顔だけ出すように浮遊したような感覚で浸かることができます。
ステップをうまく使うことでどちらでも楽しめるようにすることができました。」と露天風呂の楽しみ方を玉置さんが教えてくれた。
サーキュレーターを7台導入
夏場でも外気浴スペースで快適に過ごせるように屋外用のサーキュレーターを満遍なく7台設置した。
外気浴スペースでも空気の循環は重要だからだ。
ここまでが今回の品川サウナのリニューアルの全貌だ。
細かいちょっとした箇所からこれだけ多くの改善を短期間でしているというから驚きだ。
年々施設のレベルを上げていきたい
今回のリニューアルについて大規模に何かを変えたわけではないから人によっては気づかないかもしれない。
お客様が気づかないような小さなところでも改善すべきところを1つずつ改善していく、そういう姿勢で運営している。
「今後も運営をしていくうえで改善点や劣化していくところが出てくると思うので、そうなった時に居心地が悪くなっていく施設ではなく、施設のレベルが年々上がっていくような施設にしたいというのがあるので、今後もメンテナンスも含めて改修工事は定期的に行っていきたいと思います。」
リニューアルポイントだけじゃない、品川サウナの注目ポイント
リニューアルポイントや施設設備に目がいきがちだが、ぜひ注目してほしいポイントがある。
それは「デザイン」だ。
品川サウナのアパレルはもちろん、案内や壁の随所にワンポイントの絵が描かれている。
「なかなか表には出てこない点ですが、デザインは外注ではなく、うちのチームのメンバーがデザインしています。
案内や壁に描かれているちょっとしたカエルの絵や文字、不感湯の上に投影されている富士山、品川サウナのアパレルなど、こういったちょっとしたところまで1つ1つ凝ってデザインしているので、品川サウナに来た際にはぜひ注目して見ていただけると嬉しいです」と櫻井さんは言う。
品川サウナを運営していくうえで大切にしていること
お客様の期待に応えるべく、お客様からの1つ1つの小さな声にも耳を傾け、今回のように必要に応じたリニューアルまで行い、日々奮闘する櫻井さんには大切にしていることがある。
「1番大切なことは、ベタかもしれませんが『感謝を伝えること』ですね。お店がオープンしてから僕自身が未熟なところがあったり至らない点があったとしても、本当についてきてくれるスタッフ達には本当に感謝しかないので、その感謝をしっかり伝えることですよね。
お客様に対しても、混雑していてお待たせしてしまう中でも並んで入ってくださっていたり、中も混雑してしまっていたりという状況でも何度も足を運んでリピートしていただいて本当に感謝しかないです。こういう感謝をしっかり伝えていくことが大切なことだと思っています」
地域に根付いた愛される施設へ
最後に品川サウナの今後の展望について櫻井さんに伺った。
「今回のリニューアルもそうですが、やっぱりとにかくお客様がリフレッシュできて、お客様の憩いの場になっていくっていうところから考えて、必要な進化をちゃんと我々がしていくっていうことを今後も意識してそういうお店でありたいなと考えています。
また、全国から人が訪れる大井町という地で、地元の方にも愛されて、地域に根付いたお店になっていけたらなと1番強く思っています」
今回、品川サウナのリニューアルについてお話を伺って、「少しでもお客様に満足して欲しい」、「より良い状態で皆さんにリフレッシュしてほしい」からこそのリニューアルになっていると強く感じた。
実際にリニューアル後の品川サウナを体験したが、内装自体は大きく変わっていないが、細かい改善点によってリニューアル前よりも満足度が上がっていた。
リニューアル前に訪れたことがある方も、改めて自身で体験してみてほしい。
お客様の小さな声を1つずつ拾って進化していく品川サウナからは今後も目が離せない。
泊まれるサウナ屋さん 品川サウナ(男性専用サウナ&カプセル)
住所:〒140-0014 東京都品川区大井1-6-1
アクセス:東急大井町線 / 京浜東北線 / りんかい線 大井町駅より徒歩1分
料金:平日~60分 980円、~90分 1280円、~120分 1580円/土日祝:~60分 1280円、~90分 1580円、~120分 1880円
営業時間:早朝5:30~深夜2:30