メルカリでビットコイン「つみたて」始まる NISAやiDeCoと使い分けるには?
8月1日、メルカリがビットコインの「つみたて」サービスを発表しました。これからメルカリのアプリ利用者に向けて段階的に提供される予定です。
一方、資産形成の手段としてはNISAやiDeCoといった選択肢もあります。ビットコインの積み立てはどのように使うのがよいのでしょうか。
口座数を伸ばすメルカリで「つみたて」開始
メルカリのアプリを利用したビットコイン取引サービスは、2023年3月に開始後、口座開設者数を順調に伸ばしており、2024年5月には220万を突破したといいます。
これがどれくらい多いかというと、国内の暗号資産業者全体では2024年3月末までに約310万口座が増えたのに対し、メルカリはそのうち過半数となる約191万口座を占めたとのこと。業界内でメルカリの存在感が急激に高まっていることがうかがえます。
また、単に売買ができるだけでなく、日本円に交換することで間接的にビットコインを決済に使える機能や、ビットコインに続く暗号資産としてイーサリアムの取引も始まりました。
そして今回登場したのが、毎月ビットコインを自動的に買い付けてくれる積み立てサービスです。
積み立てる金額は日本円で最低1円から設定可能。買い付けの頻度は月に1回・2回・4回から選べるようになっています。途中で設定を変更したり解除したりすることも可能です。
買い付け資金は暗号資産用の口座にチャージした残高か、または登録した銀行口座から自動的にチャージされるとのこと。メルペイの残高を使いたい場合は口座に「移す」操作が必要となっています。
購入や売却にあたって手数料はかからないものの、メルカリが提示するビットコインの「買い」と「売り」には価格差(スプレッド)があり、ここにメルカリの収益が含まれています。
今回はビットコインを対象に、暗号資産用の口座のお金で積み立てるサービスとなっていますが、今後はイーサリアムの積み立てや、フリマの売上金を自動的に積み立てる機能も追加していく予定としています。
発表会ではサービスの紹介だけでなく、暗号資産の積み立てをどのように使えばよいのかという点について、ファイナンシャルプランナーの高山一恵氏が紹介しています。
ビットコイン取引の人気が高まる背景としては、「若い世代は老後に向けた長期積立分散投資の意義は分かっているものの、給料がなかなか上がらない中で、趣味などに使えるおこづかいがほしいというニーズがある」と指摘しています。
その中でメルカリは、ビットコインの積み立てサービスを始めることで、NISAやiDeCoに加えて資産形成の裾野を広げることを狙いとして挙げています。
その一方で、暗号資産の積み立ては、NISAにおける税制優遇や、iDeCoにおける所得控除のような恩恵は受けられません。多くの人は投資に回せるお金が限られている中で、どのように配分すればよいのでしょうか。
高山氏は「(メルカリではなく)ファイナンシャルプランナーの立場からの意見」と前置きしつつ、「資産形成の基本はNISAやiDeCoによる長期積立分散投資と考えるが、全体の1割程度でFXや暗号資産をやるのは構わないととらえている」とコメントしています。
積み立てなら「円高」にも対応できる?
ビットコイン価格の高騰を背景に、「メルカリでビットコインを買ったら簡単に儲かった」といった類いの話を聞いたことがあるかもしれません。
ただ、ビットコインの価格はしばしば乱高下することに加えて、「円安」で割高になっている点にも注意を要します。メルカリのサービス開始から1年半で価格は円建てで「約3.5倍」になったものの、ドル建てでは「約3.2倍」にとどまっています。
一方、相場の変動が予想される局面こそ、積み立てが有効であるとメルカリは考えているようです。「相場の流れが変わり、メルカリのお客様がダウンサイドの局面を体験する可能性はあるが、積み立てならリスクを低減できる」(メルコインCEOの中村奎太氏)と説明。ファイナンシャルプランナーの高山氏も「ドルコスト平均法」の利点を紹介しています。
積み立て投資では、一定のルールで機械的に投資を続けることでタイミングを計る必要がないのがメリットといえます。メルカリのアプリではビットコインの値動きを簡単に知ることができるものの、積み立てを中心に使う上では、日々の値動きに一喜一憂する必要はなさそうです。