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「すべてはプラン通り」のタイガー・ウッズの最終プランは?

舩越園子ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授
14年ぶりのマスターズ制覇が期待されるウッズだが、表情は和らぎ、余裕さえ漂う(写真:ロイター/アフロ)

 マスターズ3日目を首位に2打差の2位タイで終え、最終日を最終組で迎えることになったタイガー・ウッズに世界のゴルフファンが期待を膨らませている。

 だが、ウッズ自身の表情は日に日に和らぎ、余裕さえ感じられる。

 3日目のプレーをモニターを眺めながら自己分析していたウッズが、パー3の16番でバーディーパットをねじ込んだ瞬間の自身のリアクションを見て、クスッと笑った姿が妙に印象的だった。

 まるで、カップに沈んだボールと歩調を合わせるかのように左足を一歩前に出したその動作は、「よし、そうだ、それでいい!」とボールに語りかけながら頷いているようで、ウッズ自身、そんな自分の姿に愛おしささえ感じたのだろう。

「すべてはプラン通りだ」

 オーガスタで最後に勝利を収めた2005年大会以来、14年ぶりにこの地で首位に躍り出たことも、マスターズ5勝目を目指して最終日を最終組で戦う位置に就いたことも、すべては描いたプラン通りに進んでいるからこそ、ウッズの表情は柔らいでいる。漂う余裕は、必要なステップを着実に踏んできたという確信、そして自信の表れだ。

【昨年から今年へ、3日間から最終日へ】

 「マスターズでの優勝争いは久しぶりですが、、、」と米メディアから問われたときも、ウッズは余裕の表情で、こう返した。

 「オーガスタでは久しぶり。でも、メジャーのラスト2試合で優勝を競い合った。その経験が役立つ」

 昨年1月に戦線復帰し、7月の全英オープン、8月の全米プロで優勝争いを演じ、その経験が今、2019年のマスターズを戦う上で役立っている。もちろん、昨年9月のツアー選手権を制し、復活優勝を遂げたことも、今のウッズの大きな糧になっていることは言うまでもない。

 昨年から今年へ。その流れは「プラン通り」だとウッズは感じている。

 そして今、挑んでいるマスターズの4日間も、思い描いた「プラン通り」に進んでいるのだとウッズは言った。

 「グリーンがソフト。スコアが伸ばせる状態だった」と振り返った初日から3日目までは、大幅なサスペンデッドになるほどの天候の乱れも無い中で、ウッズは通算11アンダーまで伸ばし、首位に2打差まで迫った。

 予選2日間は短いパットを外す場面もあるにはあったが、そのぶん、長いパットをしっかり沈め、そして3日目はドライバーもアイアンもパットも「すべてが良かった」。

 そう、3日目を終えたとき、ウッズは「プラン通り」にプレーできていることに満足し、それが最終日を戦うための大いなる自信になっている。

【試される最終日】

 悪天候に見舞われるであろう最終日。マスターズ委員会は異例の「2ウエイ、3サム」形式で進行することを決め、ウッズはフランチェスコ・モリナリ、トニー・フィナウとともに最終組でプレーする。

「面白い3サムになる」

「試される1日になる」

 最終日は厳しい戦いが強いられる1日になるのだとすれば、スコアを伸ばせるだけ伸ばしたこの3日間は、そのためのプロローグだった。ウッズは、そんな「3日間+最終日」の流れをも、あらかじめ予想し、そこでも順路通り、計画通りに進んでいると言えそうだ。

 最終日のウッズのティタイムは午前9時20分。「4時には起きる」。十分な睡眠と休養は取れないだろう。それでもウッズは不平も不満も感じることなく、満足の笑顔を輝かせている。

「ここに戻ってきって、再びプレーできることに感謝している」

 勝利を掴み取るために、今、練っているプランは今夜の就寝時間。「できる限り、早く寝る」

 そして翌朝、目覚め、1番ティに立ったウッズが72ホール目を終えたとき、「なにもかもがプラン通り」になってくれることを、今、世界中のファンが心待ちにしている。

ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授

東京都出身。早稲田大学政経学部卒業。百貨店、広告代理店勤務を経て1989年に独立。1993年渡米後、25年間、在米ゴルフジャーナリストとして米ツアー選手と直に接しながら米国ゴルフの魅力を発信。選手のヒューマンな一面を独特の表現で綴る“舩越節”には根強いファンが多い。2019年からは日本が拠点。ゴルフジャーナリストとして多数の連載を持ち、執筆を続ける一方で、テレビ、ラジオ、講演、武蔵丘短期大学客員教授など活動範囲を広げている。ラジオ番組「舩越園子のゴルフコラム」四国放送、栃木放送、新潟放送、長崎放送などでネット中。GTPA(日本ゴルフトーナメント振興協会)理事。著書訳書多数。

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