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錦織圭、マイアミオープン初の決勝進出!! 決勝の相手は、絶対王者のジョコビッチ

神仁司ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト
マイアミで初の決勝進出を決め、右手でガッツポーズをつくる錦織(写真/神 仁司)
マイアミで初の決勝進出を決め、右手でガッツポーズをつくる錦織(写真/神 仁司)

フォアハンドボレーを押し込んで勝利を決めた錦織圭は、目を見開きながら、一瞬少し驚いた表情を見せて、コーチ達に向かってガッツポーズをつくった――。

錦織(ATPランキング6位、3月21日付け、以下同)が、マイアミオープン準決勝で、

第24シードのニック・キリオス(26位、オーストラリア)を6-3、7-5で破り、初の決勝進出を決めた。マスターズ1000レベルでは、2014年マドリード大会以来、2回目の決勝となる。

試合の序盤からゲームを支配していたのは、錦織だった。「リターンがキーになる」と錦織が語っていたように、まずしっかりリターンを深く返して、ラリーに持ち込み、ストロークで優位に立って、キリオスのミスを誘った。

第1セットは、錦織が2回サービスブレークに成功してセットを先取し、第2セット第2ゲームも、錦織が先にブレークに成功した。しかし、第3ゲームで3回のデュースの末、錦織がブレークバックを許すと、キリオスが息を吹き返した。

キリオスは、時速218kmの高速サーブを入れたり、セカンドサーブも強気に打ってきたりしたが、「意外と、なんでかわからないですけど、すごくボールが見えていた」という錦織は、キリオスのサーブが読めていた。

第2セットはタイブレークになりそうな展開だったが、どこかでワンチャンスがくればいいという気持ちだった錦織は、第12ゲームで、40-30からデュースに持ち込んだ。回り込んだフォアハンドストロークのダウンザラインへのウィナーで2回目のマッチポイントをつかみ、最後は、フォアハンドボレーを押し込んで、錦織が勝負を決めた。

錦織が、18本のウィナーを決めつつミスをわずか8本に抑えたのに比べ、キリオスは、19本のウィナーを決めたが、31本のミスを犯した。

準々決勝からの体のリカバリーが完全ではなかった錦織だが、自分の中で落ち着かせて、ちょうどよい疲れで、精神的に周りに気が散ることなく、集中できていたという。それが、結果的に、ミスの少ないテニスにつながったのだろう。

キリオスと試合終了の握手をした後、錦織は、コーチや家族がいる方へ向かって、右手を上げてガッツポーズをつくった。

「初めてのファイナルですし、この試合勝てるチャンスがあるのもわかっていたので、その嬉しさでした」

錦織は、1日置いて決勝を戦うことになる。「1日空くのは、気持ち的にも体力的にもすごく助かる」という錦織は、決勝で、第1シードのノバク・ジョコビッチ(1位、セルビア)と対戦する。対戦成績は、錦織の2勝6敗。今年のオーストラリアンオープン準々決勝でも対戦した時に、錦織はストレートで敗れているため、「何か少し変えないといけない」と語り、コーチとジョコビッチ対策を考える。

「すごく長いラリーになるのも考えながら、プレーしていくと思う」という錦織が、すべてを出し切ったとしても、現在キャリアベストにあるジョコビッチに勝つのは簡単ではないだろうが、決してノーチャンスではない。

錦織が目標にしているマスターズ1000大会初制覇、そして、マイアミオープン初優勝まで、あと1勝だ。

ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト

1969年2月15日生まれ。東京都出身。明治大学商学部卒業。キヤノン販売(現キヤノンMJ)勤務後、テニス専門誌記者を経てフリーランスに。グランドスラムをはじめ、数々のテニス国際大会を取材。錦織圭や伊達公子や松岡修造ら、多数のテニス選手へのインタビュー取材をした。切れ味鋭い記事を執筆すると同時に、写真も撮影する。ラジオでは、スポーツコメンテーターも務める。ITWA国際テニスライター協会メンバー、国際テニスの殿堂の審査員。著書、「錦織圭 15-0」(実業之日本社)や「STEP~森田あゆみ、トップへの階段~」(出版芸術社)。盛田正明氏との共著、「人の力を活かすリーダーシップ」(ワン・パブリッシング)

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