新聞離れは米国でも変わらず、年齢・学歴を問わず
若者の新聞離れが著しい日本だが、新聞との距離を置く傾向は日本に限らないようだ。メディア先進国のアメリカ合衆国の実情を、同国の民間調査機関であるPew Research Centerが2016年6月に発表した、同国のニュースメディアの動向と展望に関する報告書「State of the News Media 2016」を元に確認していく。
次のグラフはアメリカ合衆国において世代別に「昨日、平日版の新聞を読んだか」との問いに「はい」と答えた人の割合を示したもの。質問の前日に読んだか否かを尋ねているのは、言い換えれば常時購読(閲読)しているか否かを尋ねていることになる。また設問には「あらゆる日刊紙」と記載されていること、欧米では概して「購読(閲読)」は特記あるいは明確な別区分として仕切り分けされていない限り「紙媒体も電子媒体も同じ」として取り扱うことから、今件の「新聞購読(閲読)」には新聞社の運用配信による(有料)電子版も含むものとする。
若年層ほど新聞を読まず、歳上になるに従い購読率が高まるのは日本に限った話ではない。そして年々購読率が減少していくのも同じである。世代別動向を見ると、34歳以下は2区分がほぼ同率のまま同じように減少しており、35~44歳層でようやくやや高い値を示すようになる。またこの4、5年に限れば35~44歳層の下がり方が急で、34歳以下に近づく動きを示している。中堅層の新聞離れの加速化、と表現すべきか。
ただしどの世代も時間の経過と共に確実に減少を示していることに違いはない。電子版が含まれているとしても、ニュースの取得の場としてポータルサイトのニュースダイジェスト版の配信に加え、ソーシャルメディアが闊歩するようになり、そちらの閲読で用を済ましてしまう事例が増えたことも小さからぬ要因(ソーシャルメディアなどに配信されているニュースを読んだ場合は、「ニュース購読」には該当しても「新聞購読」には該当しないし、回答者もそのような認識はしない)。
一般的には高い方が新聞の閲読率も高いとされている、回答者の学歴別による動向も似たようなものである。
高学歴ほど新聞購読率が高く、低学歴ほど低い。そしてどの属性もほぼ一様に購読率は低下傾向にある。多少のぶれはあるものの、購読率の減少度合いはほぼ同率で、学歴による新聞から距離を置く姿勢への差異は無い。今では大学院卒の人でも新聞を読む人は4割に過ぎない。
日本においては高齢層で新聞の購読率が上昇しているとの調査結果も見受けられる。しかし高齢層がニュース取得元として使用しやすい従来型メディアのうち、特にテレビの進歩発展が著しいことから、じきに今件アメリカと同じように、インターネットだけでは無くテレビをも代替手段とすることで、新聞購読率は全世代での減少を示していくようになると考えられる。
新聞の購読率減退はニュースそのものの需要の低迷を意味しない。選択肢が増えたために分散が行われ、さらにより便利な媒体にシフトする人が増えているだけの話。もっとも新聞にも長所は複数存在するため、このままゼロに近づくまで下落するのではなく、ある一定水準で下落傾向にストップがかかるのではないだろうか。
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