40年にわたるサラリーマンの昼食代の推移をさぐる
・サラリーマンの2018年における1回あたりの平均昼食代は570円。1979年時点では565円、最高額を計上した1992年では746円だった。
・サラリーマンの1回あたりの平均昼食代を未既婚別に見ると、大よそ未婚者の方が既婚者よりも高い値を示している。ただし2013年ぐらいからは既婚者の方が高い年が多い。
新生銀行発表の「サラリーマンのお小遣い調査」(※)によれば2018年のサラリーマンの昼食代は570円だったとのこと。過去の値はどのような状況だったのが。前世紀からの経年推移を確認する。
まずは全体的な昼食代(「サラリーマン」=男性会社員)の単純な推移を見ていくことにする。なお今件「昼食代」は、弁当を持参した場合はカウントされないことに注意する必要がある。
もっとも古い公開値の1979年は565円。バブル景気の余韻が残る1992年の746円を頂点とし、あとは漸減。今世紀に入ってから、特に2005年以降の下落ぶりは顕著で、2007年の金融危機ぼっ発直前までの小康状態時期に多少持ち直しを見せるも、その後は再び下落感を強めていた。1979年以降しばらくの間は消費者物価指数も上昇を続けており、その後はほぼ横ばいだった状況を考えれば、実質的な昼食購買力は(1979年と比べて)さらに落ち込んでいたことは間違いない。
一方この数年間は、トレンド転換の気配を示し、特に2015年では久々に600円を超える値をつけた。2014年4月の消費税率引き上げに伴う食品群の値上げに連動した引上げ部分もあるが、単純な昼食代の上昇と物価上昇分とでは差が生じており(消費税率の引き上げ分を単純試算するとプラス2.86%、食料部門に限った消費者物価指数を勘案するとプラス3.68%となり、2014年の昼食代541円に上乗せすると561円で、2015年の実測値601円とは40円の差が生じる)、物価の上昇とは別に昼食への重点投入が行われていることが分かる。
直近の2018年では前年比で下落し570円。白書の説明に「マクロ的な視点では直近3年間で大きな変化は無いととらえられます」とある通り、2016年以降の動向はほぼ変わら無いと解釈した方が道理は通る。
未既婚別に見た動向は次の通り。
2013年以降しばしば逆転現象が生じ、既婚者の方が高い年が多い状態となっているが、それまでは大よそ未婚者の方が既婚者よりも高い値を示していた。既婚者は育児費用などの負担が大きく、昼食代を値切られている可能性があるなど、複数の理由が考えられる。
直近年となる2018年における既婚者の内情を詳しく精査すると、大よそ既婚者の方が未婚者よりは高め。そして既婚者では共働きか専業主婦かでは共働きの方がやや高めとなる。子供のあり無しでは大きな違いは無い。未婚者は昼食代が高額になりそうな気もするが、実態としては控えめなのは、未婚者≒若年層≒社員食堂の利用者多しの図式によるものと考えられる。
今調査の別項目の結果の上では、サラリーマンにおける昼食時間はこの数年ようやく回復基調を見せるものの、それまでは確実に減少を続けていた。生活リズム・スタイル全体がスピードを求められる時代になりつつあるのも一因だが、それとともに今件の金額面からも、昼食時間のせわしさ、つつましさが加速しているようだ。
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※サラリーマンのお小遣い調査
直近年分となる2018年分は2018年4月12日から16日にインターネット経由で行われたもので、有効回答数は2713人。男女会社員(正社員・契約社員・派遣社員)に加え、男女パート・アルバイト就業者も含む。公開資料では多くを占める会社員は男性1252人・女性791人。年齢階層別構成比は20代から50代まで10歳区切りでほぼ均等割り当て(実社員数をもとにしたウェイトバックはかけられていないので、全体値では社会の実情と比べて偏りを示している場合がある)。未婚・既婚比は男性が40.0対60.0、女性は59.9対40.1。パート・アルバイトに属する人達は、男性412人、女性258人。年齢階層比は男女ともに10歳区切りでほぼ均等割り当て。今調査は1979年からほぼ定点観測的に行われているが、毎年同じ人物を調査しているわけではないことに注意。
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