海外では日本の情報をどこから入手しているのだろうか(2020年公開版)
自国と異なる生活様式や文化を持つ他国へ、興味を抱くことは誰にでもある好奇心の発芽。そしてそれは同時に、他国からもまた、自国がそのような興味を抱かれることを意味する。自国が他国からどのように思われ、どの部分に興味を持たれているかは、知る機会が少ない一方で、気になる話。今回は新聞通信調査会が2020年3月までに発表した、アメリカ合衆国やイギリス、フランス、中国、韓国、タイへのメディアに関する世論調査「諸外国における対日メディア世論調査」(※)などの内容から、どのようなルートで日本の情報を入手しているかについて確認していく。
諸外国の人たちはどのようなルートで日本の情報を入手しているのだろうか。複数回答で尋ねた結果が次のグラフ。
どの国でも最大の入手先は自国のテレビや新聞、雑誌といった従来型大手メディア。インターネットがそれに続くが格差は大きい。学校教育も一部の国では相当数に上っているが、おおよそ従来型大手メディアとインターネットに頼っていることが分かる。
他方中国では唯一、インターネットによる情報取得が自国のテレビや新聞、雑誌を超え、最大値を示している。調査対象が中国では全国ではなく都市部なのも一因だが、インフラとしてのインターネットの浸透ぶりがあらためて認識できる。
ともあれ、他国への日本の情報周知にはインターネット経由はもちろんだが、それぞれの国に対する大手従来型メディアへの情報公開、教育機関向けの情報発信、来日している人たちへの積極的なアプローチが求められると考察できる結果ではある。歴史的背景を考慮すると難しいかもしれないが。
それでは回答者はそれぞれの自国メディアに対し、日本のどの部分の情報発信を望んでいるだろうか。見方を変えれば日本が他国のメディアに向けて情報発信・提供を行う際に、重点を置くべき分野である。
欧米は項目別に関してはおおよそ同じ優先順位だが、やはりアメリカ合衆国の期待度は高い。他方、欧米いずれもファッション・アニメ・音楽に対する期待度が低いのが意外と言えば意外か。
アジアではタイが全体的に高い値を示し期待分野が多方面にわたっていることが分かる。特に観光の値が高く出ているのが印象的。一方韓国は科学技術に関する期待が高く、政治・経済・外交政策、国際協力・平和維持活動が続いている。中国では諸外国同様に科学技術に対する期待がもっとも高いが、次いで観光、ファッション・アニメ・音楽が続き、国際協力・平和維持活動はもっとも低い値を示しているのが興味深い動きではある。あるいは日本の動向そのものがあまり伝えられておらず、関心のある無し以前の問題なのかもしれない。
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※諸外国における対日メディア世論調査
直近発表分はアメリカ合衆国、イギリス、フランス、中国、韓国、タイに対し、2019年11月から12月に行われたもので、アメリカ合衆国・フランス・韓国は電話調査、イギリス・中国・タイでは面接調査で実施されている。調査地域は中国・タイは都市圏、それ以外は全国。回収サンプル数は各国約1000件。グラフの年数表記は調査結果の発表年で統一している。過去の調査もほぼ同様の調査スタイル。
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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。
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(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。