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R・マキロイが暴露。PGAツアーとリブゴルフの統合交渉「選手の半分は不成立を望んでいる」 #ゴルフ

舩越園子ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授
(写真:ロイター/アフロ)

PGAツアーとリブゴルフの統合に関する交渉は、なぜ遅々として進まないのか?

そう問われたローリー・マキロイ(北アイルランド)は、「だって選手の半分は、交渉が成立しないことを望んでいるからね」と明かし、欧米メディアを驚かせた。

先週のアイリッシュ・オープンでは、優勝に迫りながら2位に終わったマキロイだが、心機一転、今週はDPワールドツアー最大の大会、BMW-PGAチャンピオンシップでの勝利を狙っている。

だが、開幕前の会見では、戦いへの意気込みより、PGAツアーとリブゴルフを支援するPIF(パブリック・インベストメント・ファンド)の統合交渉に関する質問攻めにあった。なぜならマキロイは、PIFとの統合交渉を行なうためにPGAツアー側で結成された「交渉分科会」のメンバーの1人だからだ。

マキロイいわく、交渉を遅らせている要因は2つあるとのことで、1つは「DOJ(ディパートメント・オブ・ジャスティス=米司法省)だ。DOJは僕たちプレーヤーとは異なる興味を抱き、交渉を保留させている」。

マキロイのこの発言は、米ゴルフウィークが先日報じた「PIFが米政府から求められている書類提出を拒否している」という内容とほぼ一致していると考えられる。

米政府、そして米司法省は、サウジアラビアの政府系ファンドであるPIFが米国のスポーツビジネスに関わることを、あらゆる方向から精査する必要があるのだろう。それなのに、PIFが書類の提出や開示を拒んでいるために、DOJが交渉に「待った」をかけていることをマキロイは示唆していた。

そして、マキロイが明かした「交渉を遅らせているもう1つの要因」は、PGAツアーとリブゴルフ双方の選手たちの「望み」「姿勢」の実態だった。

「リブゴルフ選手の半分は交渉が成立してほしいと思っているが、半分は交渉が成立しないことを望んでいる。PGAツアー選手も半分は成立を望み、半分は成立を望んでいない。みんな自分の興味に基づいて、自分の利益ばかりを考えている。PGAツアーとリブゴルフ(PIF)との交渉が成立しないことは誰かの利益になるけど、交渉成立は別の誰かの利益になる。おそらく(両方の)ツアーは交渉成立を望んでいるのだろうし、(PGAツアー・エンタープライズに)投資しているSSG(ストラテジック・スポーツ・グループ)も交渉成立を望んでいる。なぜなら、それが彼らの利益になるはずだからね」

マキロイの発言のトーンには「結局、誰もが自分のことしか考えておらず、全員が自分勝手だ」という意味合いが込められているように感じられる。

PGAツアーとPIFの首脳陣は先週、ニューヨークに集結し、数日間のミーティングを行なったのだが、いまだに何一つ発表されないのは、何ひとつ進展も結論も得られなかったからなのだろう。そうであれば、それは、きわめて残念なことである。

一体いつまで、こんな混沌とした状態が続くのか。

リブゴルフのTV視聴率は、もともと高くはないが、昨今は一層低下している。そして、PGAツアーのTV視聴率も低下気味で、ファン離れは明らかに進んでいる。

マキロイが指摘した通り、誰もが自分勝手なのだとしても、誰かが強いリーダーシップを発揮して、交渉を進めるなり、打ち切るなり、そろそろ結論を出すべきときではないだろうか。

ファンは、いつまでも当たり前のように居続けてくれるわけではないことを、誰もが今一度、認識すべきである。

ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授

東京都出身。早稲田大学政経学部卒業。百貨店、広告代理店勤務を経て1989年に独立。1993年渡米後、25年間、在米ゴルフジャーナリストとして米ツアー選手と直に接しながら米国ゴルフの魅力を発信。選手のヒューマンな一面を独特の表現で綴る“舩越節”には根強いファンが多い。2019年からは日本が拠点。ゴルフジャーナリストとして多数の連載を持ち、執筆を続ける一方で、テレビ、ラジオ、講演、武蔵丘短期大学客員教授など活動範囲を広げている。ラジオ番組「舩越園子のゴルフコラム」四国放送、栃木放送、新潟放送、長崎放送などでネット中。GTPA(日本ゴルフトーナメント振興協会)理事。著書訳書多数。

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