年齢も性別も関係ない!? 固定観念に囚われずカラフルな髪色を自由に楽しもう
最近、街ゆく若い世代の髪色がカラフルになっていることにお気づきだろうか。少し前に女性の間でミルクティーのような明るいベージュが大流行し、さらに男性もハイブリーチをした上にピンクやグリーンなど鮮やかな色彩を施すのも今やとりたてて奇異ではない。世界的に活躍している韓流アイドルや人気の芸人さんたちなどの影響もあり、男女を問わずこの傾向が見られる。
謝罪会見に見る、髪色に対する画一的イメージの危うさ
しかし、先日、とある謝罪会見のニュースでハイブリーチをした責任者が謝っている姿について「髪を染め直してから出てこい」というコメントを多く見かけた。会見の内容ではなく、アピアランスに対する的外れの意見が出てきたことがいかにも日本人らしいと筆者は感じた。
たしかに無難に髪を黒くしておけば、そのような批判は出なかっただろう。ツッコミどころを与えてしまったのは危機管理としては甘かったのかもしれない。だがそれは“黒髪=普通”という固定観念が我々に刷り込まれているからでもある。髪色の普通とは何だろうか?
そのような例のひとつが“地毛証明”だろう。それは高校などで毛髪が黒でなかったり、くせ毛でパーマのように見えたりする生徒が何も施術をしていない“地毛”であることを証明するため学校に提出する書類。外国籍など多様な出自をもつ子どもがいる現実にまったく即していない旧時代的な価値観の表れだ。
男性も髪色が自己主張のツールに
さて、そんな時代の中でも変化は進んでいて、先頃、マンダムの行った調査によると「自分を表現する上での重要なポイント」として筆頭に上がるのが「ヘアスタイル」だそう。全体で64.3%、Z世代だと64.6%が重要だと考えているとか。同調査の中で、ファッション(41.2%/44.3%)やスキンケア(27.1%/31.5%)などに比べると、いかにヘアスタイルに重きを置いているかがうかがえる。
その中でヘアカラーを取り出してみると、21.1%/23.9%とまだ低めではあるが、髪色そのものが自己主張のひとつの手段となり得る状況がわかるだろう。
マスク生活がこれだけ長くなると、露出している部分への思い入れが強くなるのもうなずける。リップよりもアイメイクに重点が置かれるのは当たりまえで、さらにその上のヘアにフォーカルポイントを集めるというのも至極、当然な流れ。髪型というシェイプだけでなく、カラーで自分らしさを表明しているのだ。
男性の変身願望を叶える髪色
このような色に対する憧れは昔もあった。古くは1960年代後半の男性がカラフルなファッションを楽しむという“ピーコック革命”、もう少し時代が下ってアニメの登場人物の色とりどりな髪色を真似る“コスプレブーム”がそれ。
ただ、これらは一過性であったり、限られた一部の人のものであったり、と現実の生活との結びつきは薄かった。しかし、最近のカラーヘアの台頭は若い世代では男女を問わず見受けられ、すでに生活に根ざしている。
その証拠にセルフで髪色を自在にデザインできるヘアカラーリングシリーズが登場する。 髪色を抜くための“ギャツビー ザ デザイナー ホワイトハイブリーチ”(1剤 108ml、2剤 36g/1650円※医薬部外品)と単体でも混ぜても使え、9色展開で自在に楽しめる“ギャツビー ザ デザイナー カラーバター”(各110g/1650円)、ブリーチ後の髪を補修し、同カラーバターと混ぜて使えば色の濃淡の調整もできる“ギャツビー ザ デザイナー カラーバター クリアトリートメント”(110g/1320円)が4月16日に発売。ヘアサロンだけでなく、セルフケアでカラーを自在に楽しむ状況が整いつつある。
ミドルエイジの白髮の向き合い方も多様化
鮮やかなカラーというと、つい若い世代だけと思ってしまいがちだがミドルエイジ以降でも上手にカラーを取り入れている女性は多く、さらに男性でもその兆しがある。中でもミドルエイジが直面する問題といえば白髮。これに対する意識変化も大きい。
数年前よりグレイヘアをそのまま受け入れ、さらに楽しんでしまうという風潮が女性から出てきた。元アナウンサーの女性のあえて染めない自然な白髪姿が共感を呼び、女性誌などで大きく取り上げられたのも記憶に新しい。
しかし、一方で染めたいという人も多く存在する。従来は白髪染めというと、いかにも「染めました」というベタッとした仕上がりで、嫌になってしまったという人も多かった。サロンでもオーダーするときにどこか恥ずかしいような気分になったが、今ではまるで様相が異なっている。
方法も多様化してきており、サロン用のヘアカラー剤などを販売するシュワルツコフは独自の“ファイバープレックス”による“脱白髪染め”を提案している。これはブリーチやハイライトで髪全体を明るくすることによって、白髪と黒髪のコントラストを減らし、目立たなくするという技術。白髪を染めるのではなく全体を明るくするという逆転の発想で、これには髪が伸びてきても根元の白髪が目立ちづらいというメリットもある。
また、従来、ブリーチをするとどうしても髪へのダメージが心配されたが、その点もクリアできていると同社の担当者は語る。「枝毛や切れ毛を98.6%削減し、ブリーチなのに傷みにくい」のも特長とのこと。
さらに「ホームケアのブランド・syossのカラートリートメントの売り上げはコロナ以前と比べると約7倍増になっています」とのことで、サロンに通えない、もしくは通いたくない層も白髮ケアを重視している表れだろう。人と直接会う機会が減っているにもかかわらず、リモートワークで画面上での見た目を整える人が多いということに繋がる。
そしてタカラベルモントでは、独自の世界初の技術の“Hair Medulla Care”によって「メラニンがない白髪にもメラニンを補充することを可能にした」と発表。これまで不可能とされていた新たな毛髪ケアの可能性を示した。
下の画像は左から、処理なし/メラニンのみ塗布/ヘアメデュラケアでメラニンを浸透させたもの。10%の割合で白髪が混ざったウィッグにメラニンを加えたヘアメデュラケア溶液を散布し、12時間放置後シャンプーで洗浄。7日間連用で検証したものだ。その従来とは異なる自然な仕上がりに驚嘆する。
まだ具体的な製品としては登場していないが、この技術を搭載した魅力的なアイテムで毛髪を美しくケアできるようになるはずだ。
ジェンダレスやエイジレスが叫ばれている昨今。冒頭でも述べたように髪色に対しても固定観念から脱却し、多様性を認めることがより一層、求められることになる。自己表現の一環としての髪色を従来型の“色眼鏡”で見てしまうことこそ、気をつけるべきではないだろうか。