うまい棒ショックに続いてカップヌードルショック、過去とは次元が違う食料品などの価格上昇
駄菓子メーカー「やおきん」が、希望小売価格10円(税抜)の「うまい棒」を4月出荷分から12円(同)に値上げする。原材料の高騰や輸送費などの上昇が理由で2007年ごろに内容量を1グラム減らしたことがあるものの価格の変更はなく、1979年の発売開始から初めての値上げとなる。
「日清食品」は、麺に使う小麦粉などの原材料価格が高騰しているなどとして、主力の「カップヌードル」などおよそ180の商品について、ことし6月の出荷分から最大で12%、値上げすると発表した。「カップヌードル」の値上げは3年ぶりとなる。
トイレなど衛生陶器や家庭用紙、食品など身の回りにある商品の値上げ表明が相次いでいる。なかでも食品は消費者物価指数で生鮮品を除き構成品目の2割を占めるだけに、店頭価格が上昇すれば、家計への打撃は大きい(1日付日本経済新聞)。
2021年の食品の値上げに関するプレスリリースの本数を分析すると、前回相次いだ2019年より約2割多いそうで、過去とは次元が違う食料品などの価格上昇となっているようである。
31日、パーム油の先物価格が過去最高値を付けた。世界最大の生産・輸出国のインドネシアが輸出を規制する方針を示した。最大輸入国インドなどの需要は底堅く、需給逼迫を見越した買いが入ったとされる。このパーム油は揚げ油やマーガリン、マヨネーズなどの各種食品に使われている材料である。
原油先物価格はWTI先物で100ドルを伺う動きとなっている。政府はガソリンなどの価格が上昇していることから、石油元売り会社に補助金を出す対策を発動しているが、これで原油価格そのものの価格上昇を抑えることはできない。
エネルギー価格の上昇は電気料金やガス料金も上昇させる。原材料価格や輸送費の高騰が続いている上、エネルギーコストの上昇、さらには日本では円安による輸入物価への影響も大きい。
米国では物価の上昇は一時的との見方をしていたFRBが方針を変え、物価上昇の抑制のためとして利上げを急ぐ姿勢を示している。欧州でもイングランド銀行は追加利上げを決め、物価上昇は一時的としていたECBも方針を変え年内利上げを見込む。
日本でも消費者物価指数は2%には届かないとの見方も多いようだが、1月の東京都区部の消費者物価指数(生鮮食品を除く総合)は、前年同月比で0.2%の上昇となっていた。昨年12月の0.5%の上昇幅から縮小した格好だが、これはGO TO トラベルに絡んだ押し上げ要因が剥落したためである。ただし、この数値には携帯電話料金の引き下げによる影響が残っている。それを除くと前年比1.7%あたりという数字が予想される。
1月以降も食料品を含め、物価の上昇が続くことが予想される。うまい棒ですら、価格を引き上げざるを得ないなかにあって、食料品を中心に複合的な要因により物価全体が引き上げられる可能性がある。
特に携帯電話料金引き下げ要因が剥落する4月以降は、エネルギー価格や食料品価格の上昇などを背景に消費者物価指数が前年比で2%を超えてきてもおかしくない状況にあるといえる。