日本の物価にピークアウト感はみられず、川上から川下へ物価転嫁が今後も続く
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日銀が12日発表した11月の企業物価指数(速報値、2020年平均=100)は118.5と8か月連続で過去最高を更新した。前年同月比9.3%上昇し、21か月連続で前年の水準を上回った。(12日付日本経済新聞)。
米労働省が9日に発表した11月の卸売物価指数(PPI)は前年同月比7.4%の上昇となり、10月の同8.1%から鈍化し、伸びは2021年5月以降で最小となった。
欧州連合(EU)統計局が2日に発表したユーロ圏の10月の生産者物価指数(PPI)は、前年比では30.8%上昇と9月の41.9%上昇から大幅に鈍化した。前月比で2020年5月以来初めて低下するとともに、前年比でも上昇が急減速した。
日本の企業物価指数も前年同月比でみて、9月の10.3%をピークとして2か月連続で低下した。歴史的な円安が落ち着いたことなどで、円ベースでみた輸入物価の上昇幅は改善したものの、電気料金の値上げなど価格転嫁が進み、対象となった515品目のうち、8割以上の438品目が値上がりした。
この価格転嫁は今後さらに進むものとみられ、これは今後消費者物価の上昇に繋がりかねない。
米10月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比7.7%の上昇となり、9月の8.2%から減速、7%台の伸びは2月以来となった。13日には11月の米消費者物価指数が発表されるが、こちらも鈍化傾向を示すものとみられる。
欧州連合(EU)統計局が11月30日に発表した11月のユーロ圏の消費者物価指数は前年同月比10.0%の上昇となった。伸び率が10月と比べて0.6ポイント縮小し1年5か月ぶりに鈍化した。
これに対し、日本の消費者物価指数は10月が前年同月比3.6%の上昇と40年ぶりの伸び率となった。11月はさらに上昇すると予想されるように、日本では物価にピークアウト感がみられない。各種の値上げが今後も続くとみられ、いわゆる川上から川下へ物価転嫁が今後も続くことが予想される。
日銀は異次元緩和を緩めず、金利がほぼゼロ近傍に抑えられ、物価に応じた利子、利息を我々は受け取れない。日銀は賃金上昇のためとして異次元緩和を続けているが、日銀は物価の番人であり、物価そのものの抑制策として、少なくとも通常の金融政策に戻さなければならないはず。金利そのものが、いずれ抑え付けられた反動で急上昇しかねない。そのガス抜きすらできない日銀はいったい何をしているのであろうか。